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武豊町の人口減少対策について

2024年07月02日 更新2024年07月02日 公開

武豊町の人口は2060年までに約8,000人減ることが予測されています。そして、美浜町、南知多町は消滅可能性自治体になりました。武豊町もいずれ消滅する可能性もあります。

そこで、「武豊町の人口減少対策」について、令和6年(2024年)第2回定例会(6月)で一般質問を行いました。

*YouTubeに解説動画もあります!

一般質問のポイント

趣旨説明

美浜町、南知多町が消滅可能性自治体となりました。武豊町も2050年までの若年女性人口減少率は-20.7%となっており、社会減対策、自然減対策が必要とされています。

また、武豊町では2020年より人口が減少しており、2060年には8,000人程度の人口減少が予測されています。

人口を維持するためには「2.07」が必要とされる合計特殊出生率は、人口動態で「1.49」、武豊町独自のデータ(2019年)で「1.36」と低い状態です。その一方で、武豊町人口ビジョン計画

「様々な施策を展開することで人口40,000人を維持」
「2030年までに合計特殊出生率を1.8、2040年に2.07に改善」

と計画しています。しかし、日本全体で急激な少子高齢化が進んでいる中で、武豊町独自の人口減少対策を行わなければ、人口維持は難しいでしょう。

武豊町の人口改善に重要なポイントは3つあります。

  1. 人口流入数(移住数)を増やす
  2. 出生率を改善する
  3. 武豊町の企業を増やす

そこで、武豊町の人口減少対策に関する質問をいたします。

質問事項①

武豊町の2023年度の出生数は286、死亡数は447で自然減が-201、国外も含めた転入者数が1,859、転出者数が1,691で社会増が168と人口減少となりました。転入者が減っていくと、人口はどんどん減っていきます。

そこで、社会減対策として、武豊町への転入者を増やすためにも、武豊町で家を購入する人のための補助金を検討できないか?

武豊町結婚新生活支援補助金太陽光発電補助金(武豊町住宅用地球温暖化対策設備設置費補助金制度)、国による子育てエコホーム支援事業などを合わせることで補助金額が多いとわかれば、武豊町で家を購入する決め手になるかと思います。

他自治体にない補助金があるとわかれば、不動産業者も積極的に武豊町で家を販売する可能性も高くなります。

質問①の答弁

現在、本町において住宅購入等の際に受け取ることができる補助金は、町からの補助としては、条件及び要件等により受給の範囲は異なりますが、次の3点が挙げられます。

まず、1点目として、新婚世帯の、新居の購入費、家賃、引っ越し費用等の経費を最大60万円補助する「結婚新生活支援補助金」であります。

現在、知多半島内でこの補助事業を実施しているのは、武豊町以外では、1市町(大府市・東浦町)のみであります。

2点目は、三世代同居または近居を始めるための、住宅の購入や新築、増築又は改築に係る経費を最大30万円補助する「三世代同居等促進補助金」であります。

現在、知多半島内でこの補助事業を実施しているのは、武豊町以外では、2市1町(東海市・大府市・東浦町)のみであります。

3点目は、リチウムイオン蓄電システムや家庭用エネルギー管理システム(HEMSなど)、住宅用の地球温暖化対策設備の設置工事や購入経費を、今定例会の補正予算可決後には、最大75万8,000円補助する「住宅用地球温暖化対策設備設置費補助金」があります。

また、直接的な住宅等に対する補助ではありませんが、ゼロカーボンシティの実現へ挑戦する武豊町では、地球温暖化対策の一環として、個人の方が自ら使用する目的で、燃料電池自動車(FCV)、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)を購入された場合、燃料電池自動車で最大30万円、電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車で最大10万円補助する「次世代自動車購入費補助金」制度を設けております。

現在、知多半島内でこの補助事業を実施しているのは、武豊町以外では、5市1町(常滑市、東海市、大府市、知多市、半田市及び東浦町)であります。

さらには、本町における新たな住宅地需要に対する施策として、これまで土地区画整理事業による新たな住宅地の基盤整備を進めてきたことに加え、令和4年3月に石曽根地区、令和5年3月に小桜地区の暫定用途地域の解消による宅地開発の誘導など、人口増に寄与する施策を進めております。

その他にも、国や県の補助としまして、「子育てエコホーム支援事業」「給湯省エネ2024事業」「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業」「LCCM住宅整備推進事業」等、要件に見合った住宅等を購入した際に、受け取ることができる補助金が設けられております。

現時点において、新たな補助金の検討には至っておりませんが、人口減少対策としましては、住宅等に対する補助金制度に限らず、子育てや教育、環境や福祉など、多様化する住民ニーズに沿った様々な施策、及び制度の充実を図り、「住みたいまち」として選択して頂けるよう、努めているところであります。

これから住宅の購入等を検討している方を始め、多くの方々に本町に関心を持っていただけるよう、町・国・県の補助制度など、ホームページ等で情報発信して参りたいと考えております。

質問事項②

武豊町の合計特殊出生率は1.36で、出生率を高めることが必要です。2000年には458人の出生数が2023年では286人まで減っています。

そして、東京都の23区など都心部を中心とした人口流入が多いが、地域内での出生率が低く、人口を飲み込んで消し去る「ブラックホール型自治体」が新しく分類されました。

都心部は家賃を含めた生活コストが高く、子どもの教育費を出す余裕がないために、出生率が低くなることがわかります。

出生率を高めるには、子どもが生まれてもお金がかからない「教育の無償化」を進めることが重要です。

「0~2歳児の幼児教育の無償化」
保育園から中学校までの給食費の無償化
「制服、バッグなどの購入補助」
返済不要の奨学金

といった出産から大学といったすべてのタイミングで教育費の負担を減らせば、武豊町はあらゆる場面で教育費の負担が少ないと考え、子育てしたい人を増やすことができます。教育の無償化を強化する予定はないのか?

質問②の答弁

初めに、保育園の給食費についてご答弁申し上げます。3歳から5歳児の給食における、主食費・副食費として保護者にご負担して頂いている、食材料費につきましては、「実費徴収を基本とする」と国の通知で示されております。

このことから、主食費・副食費につきましては、国の考えに基づき徴収するもので、町独自の無償化については考えておりません。

なお、本町では令和4年度より、物価高騰による子育て世帯の経済的負担を軽減するため、給食に用いる食材等の高騰分について、一部公費負担を行っております。

令和6年度においては、一食につき37円、総額約1千万円を見込んで、予算計上しております。

次に、0歳から2歳児の保育料についてであります。3歳から5歳児までの給食費と同様に、国の制度に基づき保護者に費用負担をして頂いております。

今後も、「国の制度に沿った内容での実施を基本」として継続していきたいと考えております。

続きまして、教育部の関連についてご答弁させて頂きます。学校給食についても、学校給食法第11条の規定に基づき、食材費については、保護者にご負担頂くことを基本としております。

万一、学校給食費の無償化をしようとしたときには、年間2億円を超える大きな財政負担を必要とするため、実施には町財政全体とのバランスを考慮した慎重な検討が必要となります。

本町では、令和4年度より、物価高騰による子育て世帯の経済的負担を軽減するため、給食費の一部公費負担を行っております。

このため、令和6年度においては、小学校で一食40円、中学校で一食50円を町で負担しており、年間で約3,100万円の公費負担を見込んでおります。

次に、制服などの購入補助についてであります。経済的な理由により就学が困難な児童生徒については、国の補助事業である「要保護児童生徒援助費補助金」に加え、町独自の基準を設け対象者の枠を拡げ補助しております。

返済不要の奨学金については、令和5年12月定例会でご答弁申し上げましたとおり、実施する考えはありません。

質問事項③

③武豊町は産業に頼っている町ですが、工業団地に空きスペースがないのにも関わらず1991年より工業団地の造成がされておらず、新しい工業団地が造成されるまで10年ほどかかると前回の一般質問で伺っております。つまり、この10年間は企業誘致ができない状況です。

その一方で、これからは自治体が営業をしなければ企業誘致は難しい時代です。IT企業誘致のように、工業団地以外の企業誘致施策を強化する考えは?また、町内事業者を増やすための政策は考えているか?

質問③の答弁

本町では今年4月に、事業所等を開設するための初期投資に対する支援として「創業支援補助金」、中小企業者等の新たな事業の創出を支援する「中小企業者等応援補助金」を創設致しました。

5月24日時点の、「創業支援補助金」については、10件の相談があり、2件の申請を受け付けております。

この「創業支援補助金」については、知多管内の5市4町では実施されておらず、本町独自の制度となります。

また、「中小企業者等応援補助金」については、21件の相談があり、5件の申請を受け付けている状況にあります。

このように、新たな補助制度は、多くの事業者に関心を持って頂いております。工業団地以外の企業誘致や、事業者の増加を図る施策につきましては、「創業支援補助金」と「中小企業者等応援補助金」等を有効に活用しながら、その時々における企業のニーズを把握し、時代に沿った企業誘致等に努めて参りたいと考えております。

*一般質問の武豊町からの答弁が長い傾向にあり、答弁時間が長くなる傾向が武豊町にはあるため、想定していた再質問と調整済みだった答弁は、提案という形で最後にまとめさせていただきました。

まとめ

戸建ての購入支援補助金は、武豊町の固定資産税、町民税を増やす政策でもあります。一般的な戸建て購入による税収試算はないとのことですが、武豊町の経営戦略を考えるうえで、住民が1人増えたらどれくらい税収が増えるかわかるようにすることは大切なことです。

税金は複雑なので、年収600万家族4人で戸建て購入といった形でモデルケースを作り、生涯の税収はどれくらいになるのかわかるようにしていただければと思います(企業、事業所が増えた場合も同様で、数字がないのでどれくらい税収が上がるか読みにくい)。

また、給食費の部分で

「国の制度に沿った内容での実施を基本」

という答弁がございましたが、それではどこを切っても同じである金太郎飴のように、他の地方自治体と同じとなってしまいます。

よく「国の対応を待つ」とご答弁されますが、仮に国が完全な政策をすれば、交通利便性が高い地方自治体が選ばれるだけで、武豊町は選ばれない地方自治体となってしまいます。

その一方で、「国の制度に沿った内容での実施を基本」としている武豊町が、国が推進している保育園民営化を積極的に進めないのは、一貫性がないと考えます。

例えば、保育園を民営化すれば、武豊町の保育園の運営費用は1/4となります。余った3/4のお金を子育て支援に利用すれば、出生率を改善することができます。

次に、武豊町の2024年度予算では、商工関連費約3億円です。一方、大府市は約30億円(134pあたり)と予算も大きいです。産業に支えられている町なのに、予算規模から産業を重要視していないと感じる事業者もいます。

しかし、今回の「創業支援補助金」「中小企業者等応援補助金」はこれまでの武豊町にはない、素晴らしい武豊町独自の補助金制度が始まったと感じています。反響数も多く、ニーズがあることがわかります。

今後、補助金ニーズの統計データなどをもとに、町内事業者やこれから起業をしようとする人が本当に必要とする補助金拡充をしていき、町内事業者を育ててください。

(*官民ファンドを利用した町内事業者に対してのビジネスコンテスト、雇用時の奨学金返済支援などいろんな支援方法もありますよね!いろんなアイデアが出る町になってほしい!)

最後に移住者の増加、出生率改善、企業を増やすこと以外にも、人口減少対策に重要な施策があります。「交通利便性を高める」ことです。

愛知県の消滅可能性自治体は、南は美浜町、南知多町、西は津島市、東は豊根村、新城市、東栄町、設楽町です。都心部から遠く、交通利便性が悪い傾向にある地方自治体は消滅する可能性が高くなります。

美浜町、南知多町の次は武豊町が消滅可能性自治体になる可能性が高いです。

そうならないためにも、さきほどの一般質問の内容となるJRと名鉄を総合駅化し、「交通利便性を高める」ことで、消滅可能性を下げることは、武豊町だけでなく、知多南部として重要な戦略となります。

また、最近では晩婚化が進み、結婚率が低下しているため、結婚支援政策も重要となってきています。

そして、人口減少対策で一番重要なのは子育て支援です。知多半島で一番子育てしやすい町を目指せば、人口減少を防ぐことができるはずです。

知多半島で一番子育てしやすい武豊町と言われるような素敵なまちづくりを期待しております。ありがとうございました。

参考データ:新築戸建て購入数

令和4年度課税分は、240棟
令和5年度課税分は、251棟
令和6年度課税分は、219棟

マンション購入数、中古戸建て購入数は把握していない。新築の固定資産税評価数で新築数が把握できる。

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
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