JRと名鉄を接続し、総合駅化を目指した知多武豊駅周辺の再開発ができないか?
知多武豊駅は無人化となり、みゆき通りの店舗数も減っています。抜本的な駅前再開発を行わなければ、武豊駅周辺のにぎわいを取り戻すことは難しいです。
そこで、「JRと名鉄を接続し、総合駅化を目指した知多武豊駅周辺の開発」について、令和6年(2024年)第2回定例会(6月)で一般質問を行いました。
一般質問のポイント
- 今の開発計画では武豊駅周辺の復活は難しい
- みゆき通り開発事業前は8店舗だったのが、現在は3店舗まで減少
- 2023年にUFJ銀行武豊支店は閉店
- 2023年に知多武豊駅、富貴駅も無人化(武豊町の駅は全部無人化)
- 武豊町はチェーン店が進出しにくいビジネス市場
- 知多半島で名鉄とJRの2路線あるのは武豊町、半田市だけ
- 武豊町は半田市よりも名鉄とJRの距離が近い
- 昔の線路や川の暗渠化をすれば駅を接続しやすい
- 名鉄とJRの総合駅ができれば、交通利便性が高まる
- 駅東開発は道路整備、歩道上屋、公園緑地の整備でおしまい
- みゆき通り開発は無電柱化と道路拡幅事業でおしまい
- 庁舎移転後、旧消防署跡地の計画は何も決まっていない
- 知多武豊駅の高架化は線路横に仮線路の用地取得が難しい
- 知多武豊駅西側の一方通行の解消も難しい
- 名鉄とJRを接続し、総合駅化するほうが実現性は高いよね?
- 2033年に武豊町の歳入は約40億円減る予測
- 令和5年度から10年で約144億円のJERAの固定資産税がある今が最後の勝負
- 過疎化してからでは、名鉄とJRの接続可能性は絶望的
- 人口は2060年までに43,000→36,000人まで減る
- 行政ができないと決めつけたら、何も実現せず要望さえなかったことに
- 民間→武豊町→愛知県を動かし、補助金をもらえる事業にすることが必要
- 民間から行政への流れができれば、半田駅のように武豊駅周辺も変わる
- 若い職員中心のまちづくり推進室は新しい流れとなる
- 武豊駅の無人化、駅が閑散としているのは、これまでの武豊町政の結果
- 役場の常識ではなく、民間の考え方が今の武豊町に必要
趣旨説明
知多武豊駅東土地区画整理事業が進んでいますが、2023年1月三菱東京UFJ銀行(武豊支店)は閉店し、知多武豊駅、富貴駅は2023年9月より無人化となりました。みゆき通りの店舗数も減少しており、
「現状の整備計画では、武豊駅周辺を復活させることは難しい」
「名鉄とJRが接続されていないのが問題だ」
という町民の声をたくさん聞きます。また、2060年までに武豊町の人口が約43,000人から約36,000人まで減る国立社会保障・人口問題研究所のデータも出ています。
「人口流入-人口流出」で計算した武豊町への転出超過で1位の半田市も2060年までに約11万7,000人から約84,000人までの人口減少が予測されています。また、転出超過2位の美浜町、3位の南知多町は消滅可能性自治体に分類されています。
人口減少時代の「今だからこそ」、抜本的な知多武豊駅周辺の開発を行わなければ、知多武豊駅が終点、廃駅になってしまうリスクが高くなります。武豊町の過疎化が進んだタイミングでは、知多武豊駅周辺を開発しようという機運は生まれません。
一方、武豊町にはJRと名鉄があり、JR武豊駅、名鉄知多武豊駅の間の距離は短いという他の市町にはない強みがあります。JR武豊線を延長し、名鉄とJRを接続し総合駅化することで、電車の利便性を高めることができます。さらに
「廃線化された線路の活用」
「堀川を暗渠化」
をすることで線路を延長して接続させやすい環境も整っています。知多武豊駅周辺のにぎわいを復活させ、名鉄河和線、知多新線の廃線を防ぐためにも、JR武豊駅と知多武豊駅を接続し、総合駅化することが重要です。
JRと名鉄の駅が接続されていないことで、知多南部から半田東、大府、東浦高校といったJR路線の学校に通う場合、駅間の徒歩移動が必要です。
知多武豊駅から武豊駅まで乗り換えるのが大変で、武豊駅まで自転車で通う知多南部の学生もいます。また、総合駅化すれば、雨に濡れず乗り換えができます。
愛知県などの関係機関や鉄道事業者と連動して、武豊駅の総合駅化を進めることが重要です。
知多武豊駅が総合駅化すれば、駅東に飲食テナントビル、商業施設、マンションなどを誘致しやすくなり、駅を中心としたにぎわいを取り戻しやすくなります。
実現不可能と思えるプロジェクトかもしれませんが、武豊町がプロジェクト化しなければ、実現へ向けたスタートラインに立つことができません。
人は空を飛びたいと思ったから、飛行機ができました。武豊町が本気で実現したいと思えば、実現不可能なプロジェクトではないはずです。JR半田駅の高架化事業も、愛知県からの補助金を活用して進んでいます。
また、人はもっと早く走りたいと思ったから、馬車から車に変わりました。しかし、馬をもっと早くするという考え方では、車は発明されません。これまでの整備計画の延長線上にはない、駅周辺の開発をすることが重要です。
そこで、駅接続プロジェクトを駅西グランドデザインと連動して立ち上げ、愛知県、知多半島南部を動かし総合駅化する流れを作れないでしょうか?
上記を踏まえ、以下の質問をいたします。
質問事項
- 駅周辺のまちづくりの計画はどうなっているか?
- 今後の駅東整備計画はどうなっているか?現状の計画を進めていくことで、駅前のにぎわいは取り戻せるのか?
- 名鉄、JRを接続し総合駅化するプロジェクトを検討したことはあるか?
質問①の答弁
第6次武豊町総合計画及び、武豊町都市計画マスタープランにおきまして、名鉄知多武豊駅とJR武豊駅、2つの駅をつなぐ一帯を、本町の都市構造における中心的な核である都市拠点に位置づけております。
都市拠点においては、まちの中心として商業・サービス・住居などの機能が整い、住民や来訪者に魅力ある拠点形成を図ることとしております。
また、名鉄知多武豊駅西グランドデザインにおいては、まちづくりの目標を定め、目標ごとのまちづくり戦略を踏まえた上で、計画区域を区分し、まちづくりの計画を策定しております。
そのうち、名鉄知多武豊駅とJR武豊駅周辺においては、3つのエリアに位置づけております。
1か所目として、黄色で着色した、武豊港線北側の主に住宅が立地する区域を「駅前居住エリア」、2か所目として、ピンク色で着色した、武豊港線沿線や駅周辺の店舗・事務所などが多く立地する区域を「生活利便施設集積エリア」、3か所目として、オレンジ色で着色した、現在の役場敷地から名鉄知多武豊駅東土地区画整理事業による駅前広場にかけての区域を「にぎわい創出エリア」としております。
最初に、黄色で着色した「駅前居住エリア」は、名鉄河和線とJR武豊線の間で、鉄道駅に近く、利便性に優れたエリアであり、JR武豊駅西側には比較的新しい戸建て住宅地が形成されております。
一方、畑や駐車場などの都市的低未利用地も点在している状況であります。このエリアにおいては、小学校も近く都市的低未利用地を有効活用しながら、戸建て住宅や共同住宅等の立地を促進し、便利な駅前居住ができるエリアとしてまちづくりを進めて参ります。
次に、ピンク色で着色した「生活利便施設集積エリア」は、日常的な買物や飲食ができるスーパー等の店舗が複数立地しているエリアであります。
このエリアでは、生活利便施設をさらに充実させ、便利で快適な暮らしを支えるエリアとしてまちづくりを進めて参ります。
最後に、オレンジ色で着色した役場周辺の「にぎわい創出エリア」は、鉄道利用者が最も多い知多武豊駅の西側に隣接し、駅利用者の多くが駅西口を利用していることから、にぎわい創出のポテンシャルが高いエリアであります。
エリア内には役場庁舎敷地をはじめ、公共空間を活用した取組など、多くの人が集まり、多様な交流が生まれるにぎわいあふれるエリアとしてまちづくりを進めて参ります。
これらのことから、名鉄知多武豊駅とJR武豊駅周辺におきましては、名鉄知多武豊駅西グランドデザインで位置づけたまちづくり戦略に基づき、取組方針に沿った各エリアのまちづくりの具現化や土地利用の誘導等を進めていく計画としております。
なお、これまでのまちづくりに対する評価についてでありますが、大東建託さんによる「住み続けたい街ランキング」で、本町は、愛知県内で令和4年は第3位、令和5年は第2位の評価をいただいております。
これは、土地区画整理事業をはじめとするインフラ整備や、子育て・教育などの様々な施策に対する評価であると考えております。
今後につきましても、このような評価をいただいていることにプライドを持ちながら、住民が安全安心に暮らし、まちに愛着を持てるような、よりよいまちづくりを、「住み続けたい街」第1位を目指して、議員の皆様とともに取り組んでまいりたいと考えております。
*大東建託のランキングは回答数230のデータです。人口数は43,000なので0.5%の意見だけとなっています。また、本当に重要な住みたい街ランキングは武豊町は圏外
質問②の答弁
名鉄知多武豊駅東側の整備につきましては、現在、町の施行により、知多武豊駅東土地区画整理事業を実施しております。
平成25年8月の事業計画決定以降、順次、建物移転を始めとし、道路、排水路等の公共施設の整備を進めて参りました。
今後の計画としましては、道路整備を始め、水道、下水道やガスといったインフラ施設の整備及び、電線共同溝の整備を予定しております。
加えて、歩道整備においては、街渠側溝やガードパイプ等を設置すると共にインターロッキングブロック舗装とし、景観に配慮した計画としております。
その他としまして、歩道上屋の整備、街路灯の設置及び、公園緑地の整備などを順次実施し、令和8年度での整備完了を予定しております。
また、都市計画道路武豊港線(みゆき通り)につきましては、令和6年度から順次、愛知県により拡幅整備事業と併せ無電柱化事業が予定されており、令和9年度までに事業完了する予定であると伺っております。
次に、駅前のにぎわいについてであります。本町全体の商業地としての土地利用は、JR武豊駅や国道247号沿線といった旧市街地から、町北部地域の土地区画整理事業による宅地化や、知多東部線をはじめとする道路整備等により、徐々に商業の中心地が本町西側地域にシフトして参りました。
武豊港線(みゆき通り)の沿線についても、社会情勢の変化等に伴い、店舗の移転や廃業により店舗数が減少して参りました。
こうした中、名鉄知多武豊駅東側で実施を致しました土地区画整理事業は、区画の再編や既存建物の移転を伴うものであります。
事業施行前には8店舗が営業を行っておりましたが、いくつかの店舗は借地や借家での営業を行っていたことから、事業の施行にあたり地区外への移転や、廃業を選択された店舗もありました。
現在は、土地区画整理事業の施行途中であり、上下水道などのインフラが未整備の状況ではありますが、再建や新規出店により3店舗が営業を行っております。
今後、駅東側の面的な都市基盤の整備がなされ、地権者による土地利用が活発になることで、商業施設等の誘致の可能性が高まるものと考えております。
このことは、駅前のにぎわいにもつながるのではないかと思われます。併せて、本町におきましても、駅前町有地の有効活用や、住民・地域・商工会・NPO・企業など民間事業者の力も活用しながら、様々な主体との協働・連携により、当該地域のにぎわいづくりを進めて参りたいと考えております。
質問③の答弁
名鉄知多武豊駅とJR武豊駅の2つの駅をつなぐ一帯は、武豊町総合計画及び、武豊町都市計画マスタープランにおいて、本町の都市構造における中心的な核である「都市拠点」に位置づけております。
また、名鉄知多武豊駅西グランドデザインでは、より具体的に、名鉄知多武豊駅とJR武豊駅をつなぐ路線を、「にぎわいストリート軸」と位置づけております。
そして、この路線では、沿道に買物、飲食、サービス施設等が充実し、歩くことが楽しくなるようなエリアとしてのまちづくりを進めることとしております。
また、令和5年3月に策定しました武豊町散策路整備計画においては、ウォーカブルルートとして位置づけ、人が集まる拠点と、歩く目的となる一定のまとまりのある資源を結ぶ軸となるルートとして、居心地が良く、歩きたくなる空間の創出を目指しております。
このため、今後、歩道空間の整備にあわせた高質化や、滞留空間として、休憩施設・憩いの場を創出して参ります。
これらのことから、鉄道を主体とするプロジェクトについては、検討しておりません。また、名鉄とJRを接続して、総合駅化することにつきましては、20年ほど前に話題にのぼったことはありますが、具体的な検討には至りませんでした。
再質問①
JR半田駅の高架化計画は平成16年から事業調査となっています。武豊町が20年前に名鉄とJRの総合駅計画を進めていたら、今ごろJRと名鉄が接続し、総合駅化していた可能性だってあります。
「できるできないではなく、やるかやらないか」
という考え方がこれからの行政には重要だと考えます。20年前に具体的な検討に至らなかった理由はなぜでしょうか?
再質問①の答弁
20年ほど前のお話なので、どの程度具体的なお話だったのかは、資料などがありませんので詳細はわかりかねますが、事業費が莫大にかかることなどから、他の施策との兼ね合いもあり、検討には至らなかったものと推測されます。
再質問②
現在、武豊庁舎の移転が計画されています。中央公園周辺は公共施設を集約していくことで、さらなる発展をするでしょう。
一方、旧消防署が解体予定となっており、武豊庁舎が移転したあとの「にぎわい創出エリア」次第で、武豊駅周辺の人の流れは大きく変わります。特に役場が移転することで、武豊駅周辺の飲食店が大打撃を受けるリスクがあります。
「にぎわい創出エリア」の計画は、現在どうなっていますか?
再質問②の答弁
にぎわい創出エリアでは、役場庁舎の移転跡地の利活用の方法や、駅周辺の交通処理対策などを検討する必要があります。
役場庁舎の跡地につきましては、多くの人々が行き交うエリアとして、交流機能や子育て支援に関する機能、飲食や医療など様々な都市機能の配置が考えられます。
今後、土地利用についてのアンケート調査やワークショップなどを通じて土地利用のあり方の検討を進めてまいりたいと考えております。
また、駅周辺の交通処理対策として考えられる基盤整備の検討にあたりましては、当該エリアの地権者の土地利用意向を把握したうえで、勉強会の開催などにより、まちづくり意識の醸成を行いながら、当該エリアの最適な事業手法などを研究してまいりたいと考えております。
再質問③
名鉄知多武豊駅とJR武豊駅をつなぐ路線が「にぎわいストリート軸」となっています。
東京の大山、名古屋の大須にあるようなアーケード商店街を作ることができれば、武豊駅周辺のにぎわいを取り戻すおもしろい施策となります。一方、継続的な商店街を作るための課題として、
- 飲食店、娯楽店舗を作る
- 飲食店以外の食料品、日々の生活に役立つ店舗を集める
- 武豊高校生が帰りに寄りたくなるようなカフェなどのおしゃれスポットを作る
- 売上を維持する継続的な集客
- 車社会に対応できる十分な駐車場
- 雨でも濡れない屋根
- 観光資源となり得る商店街
といった条件が必要です。ご答弁頂いた以外で「にぎわいストリート」の具体的な案はあるのでしょうか?
再質問③の答弁
にぎわいストリート軸として、名鉄知多武豊駅及びJR武豊駅をつなぐ沿線には、買物・飲食サービス施設等が充実し、併せて、回遊性を高めるため、ウォーカブルな視点からの空間づくりとして、沿道土地利用が図られるよう、まちづくりを進めることとしています。
詳細な検討前の段階でありますので、具体的なイメージについては、現段階ではございません。
ご提案の施設の立地や機能の配置には行政だけでなく、地権者、商店街組織、商工会など地域との連携や分担のもと進めることが重要であると考えます。
引き続き地域の主体的な活動に寄り添いながら、地域とともにまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
再質問④
知多武豊駅の高架化はできないか?
再質問④の答弁
鉄道の高架事業につきましては、国(国土交通省)が、「都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する要綱」として、要件などを示しております。
鉄道の高架化事業におきましては、工事実施にあたり、先ず今の線路の隣に仮線を建設し、仮線へ切り替え、その後、高架本体の建設、高架本体へ切り替えとなります。
そのため仮線用地の取得等で、現在の線路脇に相当の用地が必要となってきます。現状を考慮しますと、用地の確保が大変難しく、困難であると想定されます。
併せて、鉄道高架事業を行うと同時に、周辺一帯の道路を始めとする区画の再編など、面的なまちづくりの計画が必要となります。
加えまして、事業費や事業期間につきましても、近隣自治体の事例を確認しますと、膨大な費用と長い年月が必要となることも、課題として考えられます。
以上の理由により、鉄道(知多武豊駅)の高架化については、現段階では予定しておりません。
再質問⑤
知多武豊駅西側の一方通行問題は解決できないか?
再質問⑤の答弁
知多武豊駅西側につきましては、(都)武豊港線と主要地方道武豊小鈴谷線が、踏切の箇所で斜めに交差しています。また、役場南の交差点については、5差路の交差点となっていることなどから、「一方通行規制」のある道路が存在しております。
これらにつきましては、車両通行上の安全性を考慮したものであるものと考えられますが、一方で、規制の有無が分かりにくく、たまに逆走する車両を見かけることもあります。
現在、愛知県が施工予定の(都)武豊港線の整備が進むことで、踏切箇所の交互通行化に伴う、一部区間の一方通行規制が変更されますが、一方通行規制の根本的な解決には至らないものと考えております。
一方通行規制を根本的に解決するためには、知多武豊駅西側の「分かりやすく」「安全な交通体系の整備」などに向けて、駅西側の区画の再編なども含めた検討が必要となるものと考えております。
(とばコメント)
知多武豊駅の高架化、一方通行問題の解決のほうがハードルは高く、実現性は低そうですね。JRと名鉄を接続した総合駅化のほうが、用地確保の観点からも実現性が高く感じます。
再質問⑥
JRと名鉄を接続した総合駅化プロジェクトを推進するためにも、JRと名鉄を接続し総合駅化することをテーマにしたワークショップを開けないか?
再質問⑥の答弁
先ほどご答弁申し上げたとおり、現在のところ鉄道駅の総合駅化について検討しておりません。
そのため、鉄道の総合駅化についてのワークショップを開催する予定はありませんが、今後、駅西グランドデザインに関連するワークショップの開催は予定しておりますので、駅西グランドデザイン全体を推進していく際のご意見として参考とさせて頂ければと思います。
まとめ
三菱東京UFJ銀行の撤退、知多武豊駅の無人化という結果は、民間事業者として武豊町には市場がないというマーケティング判断です。
この撤退状況や駅周辺のさびしい現状を分析すると、現状の整備計画の延長線上のままでは、知多武豊駅周辺ににぎわいを取り戻すことは難しいでしょう。
一方、武豊町の財政が良くなった理由である火力発電所JERAの償却資産は15年で、JERAの税収は令和5年度から10年間で約144億円が見込まれています。
しかし、武豊町の中長期財政計画では2024年の予算で約183億円ある歳入も、2033年には約144億円に減少することが予測されています(武豊町で一番の収入となる地方税も、約110億→89億まで減少)。
私も議員になるまでは武豊町は裕福でいい町だと思っていました。しかし、議員になってから
「税収も減る(183億→144億:2024→2033年)」
「人口も減る(4.3→3.6万人:2023→2060年)」
「事業所数も減る(1,279→1,131:2012→2021年)」
「工業団地に空き地がなく、10年間は企業誘致ができない」
といったデータを知ってから、今は良くても10年後、20年後の武豊町の未来に危機感を抱くようになりました。
過疎化が進んでからでは、できることもできなくなってしまいます。知多武豊駅を復活させるタイミングは、この10年しかありません。
そして、総合駅化はすぐできるものではなく、実現までに10年以上かかるような、愛知県とも連動しなければ実現できない大きなプロジェクトです。
一方、この最後の勝負ともいえるタイミングで、駅西グランドデザインを進めるために「若手」職員を中心とした「まちづくり推進室」を新設したことは、素晴らしいと感じております。武豊町を盛り上げる「最初の流れ」となるからです。
役場やコンサル業者だけで武豊町を考えるのではなく、アンケート調査やワークショップなどで武豊町民から幅広いアイデアを出し、共有することが重要です。
本当の意味での官民連携を行い、民間から行政への流れを作っていけば、愛知県を動かし総合駅化することができるかもしれません。
しかし、最初から「できない」と決めつけて何も動かなければ、何も実現することはできません。これまでの武豊町とは違う「新しい流れ」を作るためにも、「まちづくり推進室」の活躍を期待しています。
駅西グランドデザインラボのワークショップも楽しみにしております!
知ってほしいデータ
- 武豊町の人口推移、2050年の人口予測【知多半島も紹介】
- 武豊町の人口流入元、流出先、転入超過、転出超過、年齢比率データ【2023年】
- 武豊町の主な産業別事業者、従業者数
- 武豊町への企業誘致、工業団地の新規開発について
知多武豊駅は5,000人程度の利用があります。碧南中央駅は4,000人程度の利用ですが有人駅のままです。名鉄は民間事業者なので、未来も考えて無人化・有人化の判断をしていることがわかります。