友達と共同経営者として起業をすると、高確率で失敗するなと実体験した
「友達と共同経営者として起業をすると失敗する」とアドバイスをもらった人は多いと思います。自分もこのジンクスを知ってしましたが、「自分なら大丈夫!」と甘く考えていました。
でも、友達と共同経営者として起業をすると、失敗しやすいのは本当です。友達と共同経営者として起業をすると高確率で失敗するなと実体験しました。共同経営しても成功するコツもお伝えします。
友達と共同経営者をすると失敗しやすい理由
友達と起業をすると失敗しやすい理由を考察してみました。自分が失敗した実体験や周囲の経営者友達から聞いた話なので、信頼性は高いと思います。
「会社の方向性が違った」とか「お互いにやりたいことが明確でなかった」とかは無視しています。それよりも、人間関係の部分で失敗しやすい部分を中心としています。
経営責任が曖昧になる
共同経営者になると、社長が2人となります。社長が2人いると、経営責任が曖昧になりやすいのが正直なところです。
どちらかに責任をなすりつけることも増えますし、自分の会社なのにどこか他人事のように感じてしまうことが多いです。経営責任が明確でないので、経営者TOPの決断や判断がしにくくなるのが非常に厄介なのです。
パワーバランスはいずれ崩れる
会社を創業したときのパワーバランスは、同じであることが多いです。しかし、時間が経過するにつれて、共同経営者のどちらかのパワーバランスが強くなるのが世の常です。
売上が高いと自分が優秀だと思いやすいので、共同経営者であっても自分くらいの売上を上げてほしいと思うものです。
そして、共同経営者に対してあれこれ指摘することが増えて、パワーバランスがどんどん崩れていきます。
すると、売上が低い共同経営者のやる気がどんどん無くなっていきます。そして、いつの間にか会社を辞めてしまうということが起きやすいのです。パワーバランスが崩れるのが、失敗の一番の理由だと思います。
私の場合も2人で共同経営者として始めたときの売上は同じくらいだったのですが、1年後には会社の8割の売上が自分になりました。そこから、どんどんパワーバランスが崩れて、ケンカ別れしたことを深く反省しております。
株式比率の問題
株式比率の問題も少なからず影響していると思います。会社を起業するときには資本金が必要ですが、共同経営者になる人が貯金をしているとも限りません。
そのため、共同経営者であっても、片方の株式比率が80%で、もう片方は20%ということはよくある話です。株式が0ということだってあります。最初に出せるお金というのは、非常に重要なのです。
株式比率の重要性は、会社を理解すれば理解するほど重要なものだと気づきます。株式比率が少ない人はやる気が出にくいこともありますし、どこか他人事となりやすいのは事実なのです。
また、株式比率が高い側からすると、自分の株式保有率から共同経営者を解雇することも可能です。株式比率に関するパワーバランスも影響していると思います。
売上が下がったときに、成功か失敗かわかる
会社の売上がいいときは、共同経営者の問題がないのは普通です。しかし、上記のような軋轢が日常的に生まれている状態で、急に売上が下がると共同経営者が辞めてしまうことが多いです。
立場が強い共同経営者からすると売上が下がることも自分ごとですが、立場が弱い共同経営者としてはどこか他人事となるからです。
売上も下がれば自分の役員報酬もさらに下がるので、がんばる意味がないと思って辞めてしまうことが多いです。役員報酬が0になったとしても、がんばる気概がないのです。踏ん張れないのです。
私の場合もそうでしたし、私の経営者仲間も、売上が下がった会社の危機的タイミングで共同経営者が辞めがちです。
売上が悪いときでも一緒にがんばれるようなマインドの人でない限り、共同経営者として共存するのは非常に難しいと思います。
ちなみに今では上場しているグッドパッチの土屋さんも、共同創業した人が会社が大変な時期にやめています。大変だった時期を見ていたので、その後大躍進をしてうれしいです。
友達と共同経営して成功するポイント
友達と共同経営して、うまくやっている上場企業もあります。ちゃんとやれば、友達と共同経営しても失敗しにくいコツがあるのです。
代表取締役社長は1人にする
共同経営者で成功をするためのポイントがいくつかありますが、一番大切なのが代表取締役社長は1人にすることです。
友達と起業をして成功をしている人は、社長が1人であることがほとんどです。いくら友達であっても、社長とそれ以下の優劣、いわば上下関係を明確化しています。
実際にサイバーエージェントの藤田晋さんと日高裕介さんは、インテリジェンス時代の友人です。しかし、藤田さんが社長でTOPであることを明確にしているので、現在も躍進を続けています。
そして、サイバーエージェントは日高さんがナンバー2として、藤田さんを徹底的にサポートしていることにも強さがあると思います。
自分でも仕事を取れる優秀な人は共同経営者であっても、独立してしまうことが多いです。そんな殺伐とした関係になりがちなのに、素敵な関係性だなと思います。
優秀な人を社長にしている
最初は同格でも構いませんが、優秀な人を社長にするというのも大切です。そして、共同経営者が「あいつのほうが社長にふさわしい」と心から納得していることも重要です。
例えば、京セラの稲盛和夫さんは、最初は取締役から始めましたが、頭角を現すにつれて最終的には社長になりました。
青山さんという前の会社の上司が、稲盛さんの前に社長をしていました。しかし、稲盛さんが、「私のほうが社長にふさわしいので、社長を譲って欲しい」と青山さんに言ったそうです。
実際に青山さんは稲盛和夫さんの才能を見出して、一緒に起業しています。そのため、納得して社長を譲っているわけです。このように、優秀な人が社長になるというのも大事だと思います。
共同経営をするなら、株式の買い戻し契約を結んでおこう
そうはいっても、友達と共同経営者として起業したいという人は多いはずです。また、自分なら失敗しないだろうと思うでしょう。
やってみないと、成功するかどうかわからないのも事実です。そこで、共同経営者として失敗した私だから、唯一アドバイスできることがあります。
「共同経営者が辞めたときに備えて、株式を買い戻せるように契約を結んでおくこと」
です。会社を辞めたときに、初期の資本金と同額で買い戻せるように契約を結んでおくとよいでしょう。こうすれば、共同経営者として失敗したあとに、株式関係で悩むことはなくなります。
実際に、私も株式の重要性を認識していたので、起業するときに株式の買い戻し契約を結んでおきました。そのため、共同経営者が辞めたあとの株式は100%私の保有となっています。
ベンチャーキャピタルから投資を受けている会社なら、買い戻し契約はより重要となります。株式比率の重要性をちゃんと認識しておきましょう。
感想
友達と共同経営者として起業をすると、失敗しやすいというのは本当だと思います。実際に経営責任が曖昧になるし、パワーバランスが崩れるとどちらかが辞めやすい構造になってしまうからです。
友達と共同経営者として起業をしたいのであれば、社長は1人にして優劣を明確にすることが重要です。そうすれば、経営責任が明確になるし、経営判断もしやすくなります。
ただ、どちらにせよ私個人としては、友達と共同経営者として起業をするのはおすすめできません。会社は仲良しごっこで過ごせるような甘いものではありません。
一歩間違えばすぐに会社は潰れてしまうので、友達だからと遠慮をすることも、妥協することも難しいです。
友達をなくしたくないのであれば、友達と起業をするのは避けましょう。私は数少ない飲み仲間を無くしました。非常に辛かったです。どうしても一緒に起業したいのであれば、上下関係は明確にしておきましょう。
「失敗しがち!友達とは仕事をしないほうがいい理由」も参考にしてください。