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自治体DX推進計画の方針と開発体制について【武豊町】

2023年09月08日 更新2023年09月08日 公開

武豊町はアナログの窓口対応が主流で、他の自治体に比べてもデジタル化が進んでいないと感じています。また、システム改修費用も高く、システム会社の言い値になっているなとも感じます。

そこで、令和5年第3回定例会で「自治体DX推進計画の方針と開発体制」について、一般質問を行いました。

一般質問の趣旨説明

武豊町が行政手続きのオンライン化を提供し、システム費用を適切な金額に抑えるためには、自治体DX推進計画を進めることが重要です。

令和4年度の決算資料では、電算業務委託料が約1.6億、システム利用料は約3千万、あいち電子自治体推進協議会負担金、あいち情報セキュリティクラウド負担金といった、広域のシステム料なども1千万円以上かかっており、横断集計するとシステム関連費用は2億円以上かかっていると見受けられます。

また、自治体DX推進計画で対応するべき項目は多く、非常に複雑な内容となっています。そのため、武豊町単独で自治体DXを対応することは非常に難しく、広域開発、デジタル人材シェアリングなどが重要となります。

情報システムの標準化対応の目標時期が2025年度となっており、今後のDX対応の方針も決めなければいけないタイミングです。上記を踏まえて、武豊町のDX対応状況、DX方針を明確にするため、以下の質問をいたします。

自治体の情報システムの標準化・ガバメントクラウド、行政手続きのオンライン化の進捗状況はどうなっていますか?

<町長回答>

「自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション推進計画」につきましては、総務省から令和2年12月に、計画期間を令和3年1月から令和8年3月までとして、行政のデジタル化の集中改革を推進するため、各自治体に示されました。

「自治体DX推進計画」では、重点取組事項として次の6点の取り組み事項を掲げております。

1点目は、自治体の情報システムの標準化・共通化
2点目、マイナンバーカードの普及促進
3点目、自治体の行政手続のオンライン化
4点目、自治体のAI・RPAの利用推進
5点目、テレワークの推進
6点目は、セキュリティ対策の徹底
であります。

1点目に示す「自治体の情報システムの標準化・共通化」では、各自治体が行う児童手当や戸籍などの主要な20業務が、「システムの標準化」の対象業務となっております。

令和3年5月19日に公布された「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」では、全ての自治体が、この20業務のシステムを、国が整備するガバメントクラウド上で稼働する標準仕様に準拠したシステムに、移行しなければならないと規定されました。

「自治体の情報システムの標準化・共通化」に向けた進捗状況につきましては、現在、令和4年8月に国から示された標準仕様書に基づき、各ベンダ(事業者)が新システムの開発に取り掛かかっている状況であります。

本町といたしましては、これら事業者のシステム開発の動向を注視しつつ、令和8年3月までに順次、全国共通の新システムへの移行を進めて参ります。

また、同じく、「自治体DX推進計画」の重点取組事項の一つである、「行政手続のオンライン化」につきましては、子どもに関する15の手続、要介護・要支援認定の申請など介護に関する11の手続、更には罹災証明の発行申請手続と合わせまして、27の手続きが示されております。

本町におきましては、本年3月より、国が提供するマイナポータルの「ぴったりサービス」を活用して、先の27の手続きをオンライン化しており、利用出来る状況となっております。

CIO、CIO補佐官といった自治体DXの組織体制はどうなっているか?

「自治体DX推進計画」では、6点の重点取組事項を着実に実施するために、国は次の4点の推進体制を構築することが望ましいとしております。

1点目、組織体制の整備
2点目、デジタル人材の確保・育成
3点目、計画的な取り組み
4点目、都道府県による市区町村支援

であります。

1点目に示す組織体制の整備では、自治体の情報システムの標準化・共通化等のDXを推進するためには、首長、CIO(最高情報統括責任者)、CIO補佐官等を含めた全庁的、横断的及び効果的な推進体制の構築が求められております。

本町における自治体DXの組織体制としては、「武豊町情報化推進本部」及び「武豊町情報化推進会議」により、電子自治体の構築及び地域情報化の推進を実現するため、副町長を最高情報統括責任者(CIO)として、全庁的な推進体制を整備していくこととしております。

「武豊町情報化推進本部」では、副町長をはじめ、6部長、総務課長及び企画政策課長、「武豊町情報化推進会議」は、各課の所属長で構成されております。

*「自治体DX推進計画で総務省が推奨する人材と組織体制【広域の開発体制が重要】」を参考にしてください。

外部人材の採用はしているのか?採用している場合、外部人材スキル標準におけるプロデューサー、プロジェクトマネージャーといったどの役割で採用したか?

総務省は、地方公共団体がDXに係る外部人材を募集・採用する際に参考にできるよう、「自治体DX推進のための外部人材スキル標準」を策定し、DX推進に必要とされる外部人材の人材像を類型化し、それぞれに必要なスキル・経験等を示しております。

人材像としては、プロデューサー、プロジェクトマネージャー、サービスデザイナー、エンジニアの4つの役割に分類をしております。

本町におきましては、これらの役割による外部人材の採用はしておりません。

*「自治体DX推進の外部人材スキル標準を満たす、優秀な人材を採用するのは難しい」を参考にしてください。

国はDX計画内で、都道府県による市区町村支援、デジタル人材のシェアリングを推奨しています。愛知県や知多半島エリアで、広域開発やデジタル人材のシェアリングを検討する流れはあるのでしょうか?

まず、広域開発についてであります。

本町では、自治体DXへの対応として、知多半島エリアなどでの広域開発は検討しておりません。

広域開発の事例としては、愛知県内の自治体で構成されている「あいち電子自治体推進協議会」における運用が挙げられます。

県内市町村の負担金等を基に、「電子申請・届出システム」、「施設予約システム」及び「電子調達システム」等を共同開発し、各市町村が共通して使用出来るシステムとして、現在運用しております。

また、AIを活用して紙帳票の文字を読み取り、データ化する「AIOCR」、及びAIによる総合案内サービス「チャットボット」につきましても、県内の自治体と共同して利用しております。

その他、「共同セキュリティ監査」及び「標的型メール対策訓練」等も県内自治体と共同で利用しており、状況に応じて、広域的かつ、効果的なシステムの運用を愛知県を中心に行っております。

次に、デジタル人材のシェアリングについてであります。

広域的なデジタル人材のシェアリングにつきましては、現時点において、検討には至っておりませんが、専門的知識を習得するため、各自治体との情報交換及び職場研修等に努めているところであります。

*「広域の開発体制、開発人材シェアリングが自治体DX推進計画成功のポイント」を参考にしてください。

DXを推進する中で、オンライン申請や窓口におけるキャッシュレス決済、電子マネー対応といったDX対応は進められると考えますが、これらのDX対応を今後検討する流れはあるでしょうか?

「自治体DX推進計画」に掲げる6つの重点取組事項の一つに、「行政手続のオンライン化」が掲げられております。

本町においても、令和5年3月から子育て及び介護等に係る27の手続きについて、オンラインでの申請が可能となっております。

また、固定資産税等の納税通知書にキャッシュレスでの納付を可能とする「eLQR(QRコード」を印字し、銀行や役場窓口に来ることなく、納税が出来るキャッシュレス決済についても対応しております。

役場窓口において取得できる、所得証明、納税証明書及び住民票等の各種証明書の手数料につきましては、現時点においてキャッシュレス決済での対応は出来ておりません。

DXの対応につきましては、時代の変化や他市町の状況等を踏まえつつ、出来るところから進めて参りたいと考えております。

最後に意見

私はIT企業出身で、さまざまなシステム改修のコンサルにも関わってきた立場から見ると、武豊町のDX人材が少なく、開発業者任せとなりがちな現状に危惧しております。

このままでは、情報システムの標準化対応をしても、ベンダーロックは解消できず、小さな改修をするたびに開発費用がかかる現状を、変えることは難しいです。

また、自治体DX推進計画を国から指定された通りに進めるのは、武豊町規模の自治体が行うことは難しいです。そして、仕様が定まっている共通システムを、各自治体が開発するメリットも少ないです。

メルカリは1つ開発すればいいのに、各自治体が1,700個以上も地方版メルカリを開発しているようなものだからです。

そこで、武豊町が知多半島の他自治体、愛知県などに働きかけを行い、共通システムの広域開発、デジタル人材のシェアリングをするといった連携を提案、推進していただき、無駄な開発費用がかからない動きを作るような自治体に、なっていただくことを期待します。

感想

自治体DX推進計画は、IT・Web会社出身の私でも理解することが難しく、広範囲の内容となっています。

そのため、DXスキルがある人材が主導で進めなければ、結局開発会社任せのDX対応となってしまいます。

今は仕様書が定まっているからいいですが、今後のルール改定の際に、国が仕様書を作らなければ、また独自の仕様になってしまいます。

それがゆえに、今後のシステム費用の削減を目指して、仕様や管理画面などを統括できるような、DX体制が武豊町でも必要です。

本当は自分がやりたいなと思うことも多いのですが、議員だと行政の中には入れないっぽいので悩ましいところです。

参考ページ

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
IT・Web会社の社長
詳細プロフィール

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