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自治体DX推進計画

自治体DX推進計画とは、デジタル社会の実現をするために、自治体が重点的に取り組むべき事項・内容を具体化された計画のことです。自治体DX推進計画をわかりやすくお伝えできればと思います。

DXとは

DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、デジタル技術を通じて、これまでのビジネスモデルや既存の枠組みを変革することを意味します。

DXとは?IT化との違い【デジタルトランスフォーメーションがDXと略される理由】」も参考にしてください。

自治体DX推進計画の流れ

コロナ対応でDXが必要と気づく

新型コロナウイルス対応で、地域や組織の間で横断的にデータが十分に活用できないことが明らかになり、DXが必要だとわかりました。

目指すべきデジタル社会のビジョン

デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針(2020年12月25日閣議決定)」において、

「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」

という目指すべきデジタル社会のビジョンが示されました。

デジタル改革に必要な法律の整備

令和3年5月には、デジタル社会形成基本法、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律を含めたデジタル改革関連法が成立・公布され、デジタル社会形成基本法において、

「地方公共団体は、基本理念(第2章に定めるデジタル社会の形成についての基本理念)にのっとり、デジタル社会の形成に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を活かした自立的な施策を策定し、及び実施する責務を有する(第14条)」

こととされました。

デジタル社会の実現に向けた重点計画

令和3年6月には、デジタル社会形成基本法第37条第1項等に基づく「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定されました。

ことが自治体に求められ、住民とDXの意義を共有しながら、DX推進計画を進めていくことも重要となります。

データの重要性の認識共有

データが重要である認識を共有し、データ様式の統一化を図り、データ流通を促進することで、行政の効率化・高度化が可能となります。

個人情報保護法律の一元化

個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法の3本の法律を1本の法律に統合し、自治体の個人情報保護制度についても全国的な共通ルールを法律において規定します。

また、統合後の法律を個人情報保護委員会が所管する仕組みとすることとする法律が、2021年の通常国会にて成立し、地方公共団体の関連規定については、2023年春から施行予定となっています。

個人情報保護に関する法律の一元化等を通じて、制度面でのデータの流通基盤が整備されれば、本計画における自治体の情報システムの標準化・共通化、マイナンバーカードの普及促進と相まって、自治体におけるデータ活用の可能性が拡大します。

デジタル社会の実現に向けた構造改革

デジタル社会の実現に向けた構造改革」については、デジタル社会の目指す姿を実現する上で、国や地方公共団体の情報システムの改革に取り組むだけでは、一部だけのデジタル化の達成しかできません。

「書面や対面などデジタル活用を前提としていない規制・制度」
「行政組織の縦割り」

が問題となっているからです。そこで、2021年11月に内閣総理大臣を会長とする「デジタル臨時行政調査会」が創設され、デジタル改革、規制改革、行政改革といった構造改革に係る横断的課題の一体的な検討や実行を強力に推進することになりました。

デジタル田園都市国家構想の実現

デジタル田園都市国家構想の実現」については、様々な社会課題に直面する地方にこそ、新たなデジタル技術を活用するニーズがあると考えています。

そこで、デジタル技術の活用によって、地域の個性を活かしながら地方が抱える人口減少、少子高齢化、産業空洞化などの社会課題の解決します。

また、地方の魅力向上のブレークスルーを実現し、地方活性化を加速することを目的としています。

Web3.0の推進

「Web3.0の推進」も基本戦略であり、メタバースやNFT(非代替性トークン)といったデジタル技術の活用の在り方も、政府が検討を進めていくとされています。

自治体DX推進計画の目的

政府には行政のデジタル化の集中改革を強力に推進するため、マイナンバー制度と国・地方を通じたデジタル基盤の在り方を含め、抜本的な改善を行うことにしました。

そこで、「デジタル・ガバメント実行計画(2020年12月25日閣議決定)」にて、自治体に関連する施策も多く盛り込まれました。

情報システムの標準化・共通化」といった自治体における施策を、効果的に実行していくために、国が主導的に役割を果たしつつ、自治体全体の足並みをそろえることが必要です。

また、デジタル社会形成基本法では、「国は、(中略)デジタル社会の形成についての基本理念にのっとり、デジタル社会の形成に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する」(第13条)

「国及び地方公共団体は、デジタル社会の形成に関する施策が迅速かつ重点的に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない」(第15条)と定められています。

このため、総務省は、国と地方公共団体との連絡調整に関することを所管するために、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」などにおける各施策について、自治体が重点的に取り組むべき事項・内容を具体化し、支援策を取りまとめ、「自治体DX推進計画」を策定し、デジタル社会の構築に向けた取組を、全自治体において着実に進めていくことにしました。

*自治体DX推進計画に記載された自治体の取組に関する内容については、地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的助言である
*2021年1月から2026年3月までが計画の対象期間
*本計画は、共通的な基盤・機能を提供するガバメントクラウドの活用に向けた検討など、国の動向を反映させるよう適宜見直しを行う

自治体DX推進計画に必要な人材

CIO、CIO補佐官等が必要となります。「自治体DX推進計画で総務省が推奨する人材と組織体制【広域の開発体制が重要】」も参考にしてください。

求めるスキルが高すぎて、採用が難しそう

IT企業出身者もびっくりの、ハイスペックさを求められてます。「自治体DX推進の外部人材スキル標準を満たす、優秀な人材を採用するのは難しい」も参考にしてください。

外部人材のチェックリスト

「外部人材に過剰な期待をしない」といったチェックリストもあります。「自治体DX推進計画の外部人材の受入れ準備チェックリストが面白かった件」も参考にしてください。

広域での開発、人材シェアリングが成功のポイント

自治体DX推進計画を成功させるポイントは、国や都道府県による市区町村支援と人材シェアリングになると思います。

広域の開発体制、開発人材シェアリングが自治体DX推進計画成功のポイント」も参考にしてください。

自治体DX推進計画のスケジュール

かなりハードな開発内容、かつ、仕様だけ作って自治体に開発は丸投げしているように見受けられるので、スケジュール通りに進まない自治体が多い予感がしています。

自治体のDX推進計画スケジュール

自治体DX推進計画(58p)を引用

自治体DXの重点取組事項

  1. 自治体の情報システムの標準化・共通化
  2. マイナンバーカードの普及促進
  3. 自治体の行政手続のオンライン化
  4. 自治体のAI・RPAの利用推進
  5. テレワークの推進
  6. セキュリティ対策の徹底

自治体の情報システムの標準化・共通化

これまで自治体の情報システムは、自治体任せになっていたので独自の仕様になっていました。この仕様を国は標準化しようとしています。

ただ、標準仕様をあそこまで定めるなら、国がまとめて情報システムを作ったほうが、開発コストは安いんじゃないかなと思っています。

ガバメントクラウドとは?自治体の情報システムの標準化・共通化」も参考にしてください。

マイナンバーカードの普及促進

自治体DX推進をするには、マイナンバーカードの普及が必要となっています。マイナンバーカードのデータが読み込めれば、何も書かずに対応できれば楽だなと思います。

マイナンバーカードの普及促進と自治体DX推進計画の関係」も参考にしてください。

自治体の行政手続のオンライン化

自治体の手続きってめちゃくちゃたくさんあるけど、多くはアナログ手続きとなっています。今後はマイナポータルをベースに、さまざまな行政手続がオンライン対応できるようになる模様です。

自治体の行政手続のオンライン化」も参考にしてください。

自治体のAI・RPAの利用推進

2021年12月末時点の調査でAIを672団体が導入済みであり、導入割合は都道府県、指定都市が100%、その他の市区町村が35%となっています。

また、RPAは557団体が導入済みであり、導入割合は都道府県が91%、指定都市が95%、その他の市区町村が29%となっています。

AI・RPAの両方を導入している団体は450団体で、人口規模の大きな団体のみならず、規模の小さな団体においても導入が進んでいます。

自治体は国の作成するAI、RPA導入ガイドブックを参考に、AI、RPAの導入・活用を進めるとされています。

また、こうした最先端の技術の導入については、データの集積による機能の向上や導入費用の負担軽減の観点から、複数団体による共同利用を検討し、都道府県はAI・RPAを含めたデジタル技術の市区町村のニーズを踏まえ、共同利用を支援することとされています。

<参考ページ>

テレワークの推進

テレワークを推進することで、ライフステージに合わせた多様な働き方を行うことができます。また、コロナのような感染症や災害発生時にも、行政機能を維持するために有効な手段となります。

自治体におけるテレワークの導入状況は、2021年10月1日の総務省の調査で、都道府県・政令市では100%、市区町村では49.3%となっています。増加傾向にありますが、小規模団体における導入が課題となっています。

自治体は、国が提供する「地方公共団体におけるテレワーク推進のための手引き」や「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和5年3月版)」などを参考に、在宅勤務だけでなく、サテライトオフィス勤務やモバイルワークも含め、テレワーク導入・活用に積極的に取り組むこととされています。

また、自治体の情報システムの標準化・共通化や行政手続のオンライン化による業務見直し等の進捗に合わせ、テレワーク対象業務の拡大に取り組むこととされています。

私はIT系の仕事をしており、大手広告代理店さんとも仕事をしています。誰もが知るような大手広告代理店さんも、コロナが発生してからテレワーク前提で仕事をしています。

コロナ時代は一度もクライアントさんと直接会わずに、最初から最後まで仕事を終えたケースもあります。行政も同じで毎日出社が必須でなく、適度にテレワークを活用できるようにしていくことが必要です。

セキュリティ対策の徹底

これは難しいので、「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和5年3月版)」を参考にしてください。

デジタル田園都市国家構想も一緒に取り組む

デジタル田園都市国家構想基本方針」で「国は、デジタル田園都市国家構想が目指すべき中長期的な方向性について達成すべき目標と併せて示すとともに、地方の自主的・主体的な取組を様々な施策を通じて支援する。また、データ連携基盤の構築など国が主導して取り組むべき事項について積極的に推進する」こととされています。

一方、「地方においては、地方公共団体を中心とした地域それぞれが十分議論した上で、自らの地域が目指すべき理想像を描き、そこに向けた地方活性化の取組を進めていくことが求められる。また、国の示した方向性を踏まえ、必要に応じて広域連携を図りながら、自主的・主体的な取組を推進する」こととされています。

つまり、他の地方団体を真似するだけでなく、自分の地方の特性に合わせて、地域活性化、医療、健康、福祉といったデジタル対応をしなさいと言われているわけです。

データヘルス改革、自治体マイナポイントといったことも、デジタル田園都市国家構想の戦略となります。

デジタル田園都市国家構想」も参考にしてください。

自治体マイナポイントの全国展開

地域独自のポイント給付施策をオンラインで、素早く実施できる自治体マイナポイントの基盤を整備し、全国展開を推進することとしています。

ポイントの受取を各自治体の住民に限定、年齢・所得・子育て世帯など施策目的に応じて対象を限定、給付額・期間を設定することなどで、自治体独自のポイント給付施策を効果的に実施できます。

また、自治体マイナポイント事業を推進することで、キャッシュレス決済の利用促進、地域の消費喚起、地域経済の活性化を推進することとしています。

自治体マイナポイントは素晴らしい取り組みなのですが、利用することでどれだけ手数料がかかるかが問題です。

一律10%とか20%になると、クーポンを発行して郵送したほうが安いということにもなりかねません。1人あたり郵送料よりも安い仕組みを構築することが必要です。

その他

デジタルデバイド対策、デジタル原則に基づく条例などの規制の点検・見直し、BPRの取組の徹底、オープンデータの推進・官民データ活用の推進なども説明されています。

先進事例

他の自治体が工夫して取り組んでいるDXの先進事例を知ると、こんなDX対応ができるんだと参考になります。

自治体DX推進で参考となる先進事例」も参考にしてください。

参考ページ

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著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
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