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ガバメントクラウドとは?自治体の情報システムの標準化・共通化

2023年08月23日 更新2023年08月23日 公開

自治体DX推進計画を進めるには、自治体の情報システムの標準化・共通化が重要です。そのためにも、ガバメントクラウドを利用し、国や自治体が協力しなければシステムの標準化、共通化をすることはできません。

自治体情報システムの課題

自治体が独自にシステムを発展させてきた結果として、次のような課題があると総務省は指摘しています。

  1. 維持管理や制度改正時の改修等において、自治体は個別対応を余儀なくされ、負担が大きいこと
  2. 情報システムの差異の調整が負担となり、クラウド利用が円滑に進まないこと
  3. 住民サービスを向上させる最適な取組を迅速に全国へ普及させることが難しいこと

情報システムの標準化・共通化を行う

国は上記の課題を解決するために、地方の情報システムを刷新させ、以下のような情報システムにすることを目指しています。

「地方公共団体の職員が、本当に住民サービスを必要とする住民に対して、手を差し伸べることができるようにするなど、住民サービスが向上する。」

「また、業務全体にかかるコストを抑え、他ベンダーへの移行をいつでも可能とすることにより、競争環境を適切に確保するなど、行政の効率化が図られている。」

上記の方向性を目指すためにも、業務改革(BPR)の徹底を前提にして、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律第6条第1項及び第7条第1項に規定する標準化基準への適合とガバメントクラウドの活用を図り、地方公共団体の基幹業務等システムの統一・標準化を、地方公共団体と対話を行いながら進めるとされています。

具体的には、地方公共団体、間事業者が基幹業務等のアプリケーションをガバメントクラウド上に構築し、地方公共団体がそれらの中から最適なアプリケーションを利用することが、可能となるような環境の整備を行うとのことです。

ガバメントクラウドとは

ガバメントクラウドとは、政府共通のクラウドサービスの利用環境のことです。

デジタル庁では、クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、セキュアで、コスト効率の高いシステムを構築可能とし、利用者にとって利便性の高いサービスをいち早く提供し改善していくことを目指すとしています。

ガバメントクラウド

自治体DX推進計画(p15)の画像を引用

ガバメントクラウドのメリット

ハードウェアやソフトウェアの管理が不要

地方公共団体が基幹業務などのアプリケーションをオンラインで利用することにより、従来のようにサーバなどのハードウェアや、OS・ミドルウェア・アプリケーションなどのソフトウェアを自ら整備・管理することが、不要となる環境の実現を目指すことができるとのことです。

ベンダーロックインを防ぐ

ガバメントクラウドが提供する共通的な基盤や機能を活用しながら、アプリケーションレベルにおいては、複数の民間事業者による競争環境を確保して、ベンダーロックインによる弊害を回避できるとのことです。

自治体の情報システムはガッチガチに固まっているので、他の開発業者へのスイッチングコストが非常に高く、なかなかシステムを切り替えられない問題があります。

そのため、簡単なシステム改修をするだけで、高い開発費用が請求されやすい問題があります。

スタートアップも開発可能

スタートアップ、地方のベンダーも含め、自らクラウド基盤を整備することなく、自社が開発したアプリケーションが全国展開する可能性が広がることとなるそうです。

私はベンチャー企業出身なのですが、ベンチャー企業が自治体と事業連携するのって本当に敷居が高いんですよね。大手開発会社じゃないと、自治体と事業連携できないケースがほとんどです。

スタートアップ、地方ベンダーが参入することが本当にできるのであれば、自治体のシステム費用は安くなっていくと思います。

標準準拠システムのメリット

標準準拠システムは、データ要件・連携要件に関する標準化基準に適合することにより、当該データの公共サービスメッシュへの連携をすばやく、円滑に行える拡張性を有することとなります。

また、地方公共団体は独自施策などを講じるため、当該地方公共団体が保有する標準準拠システムで利用する標準化されたデータを、必要なサービスを提供するためのシステムに利用することができるとのことです。

これまでは、自治体ごとにデータ仕様が違っていたので、データ利用は簡単にできませんでした。データ項目などが標準化されれば、API利用もしやすくなりますし、大きなメリットとなるでしょう。

標準仕様について

地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化」にまとめられていますが、主な要件は以下となっています。

データ要件・連携要件

ために、要件が定められました。「データ要件・連携要件の標準仕様について(デジタル庁)」も参考にしてください。

非機能要件の拡充

セキュリティ対策、運用といった標準機能以外の非機能要件については、「地方公共団体情報システム非機能要件の標準について(令和4年8月版)」を参考にしてください。

地方公共団体によるガバメントクラウドの利用に関する基準

ガバメントクラウド上に構築することができるシステムや、ガバメントクラウドの利用方法、責任分界の考え方などは、「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化ページにある地方公共団体情報システムのガバメントクラウドの利用に関する基準」部分を参考にしてください。

共通機能の標準

標準準拠システムを用いて業務を行う際に必要な機能で、全ての標準化対象事務にかかる標準準拠システムに共通する機能(共通機能)の標準については、「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化ページにある地方公共団体情報システム共通機能標準仕様書」部分を参考にしてください。

標準準拠システムに移行が必要な業務

基幹系20業務システム(住民基本台帳、印鑑登録、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、就学、介護保険、障害者福祉、児童手当、子ども・子育て支援、戸籍の附票、選挙人名簿管理健康管理、児童扶養手当、生活保護、後期高齢者医療、国民年金、国民健康保険、戸籍)は、標準準拠システムに移行する必要があるとしています。

最新の標準仕様書は、「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化ページにある標準仕様書」部分を参考にしてください。

開発スケジュール

基幹業務システムを利用する全ての地方公共団体が、原則として目標時期である2025年度までに、ガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムへ移行できるようにスケジュールが組まれています。

自治体の情報システムの標準化・共通化のスケジュール

自治体DX推進計画(p24)の画像を引用

開発コストの削減目標

情報システムの標準化が実現することで、地方公共団体の情報システムの運用経費等は、標準準拠システムへの移行完了予定後の2026年度までに、2018年度比で少なくとも3割の削減を目指すこととしています。

また、国の削減目標は2025年度までに、2020年度比で3割削減としています。地方公共団体の基幹業務システムなどは、ガバメントクラウドを活用することにより、

といったことが可能となるため、理論上は開発コストを安くすることができるようになります。ただ、開発業者も安くならないような対策はしてくるだろうなと思います。

ガバメントクラウドの利用料はどうなる?

「地方公共団体の基幹業務システム等が活用する、ガバメントクラウドの利用料に係る地方公共団体の負担の在り方については、地方公共団体情報システム標準化基本方針において定める」

国主体でガバメントクラウドのシステムになった場合に、利用料負担がどれくらいになるかが不安なところです。自治体の歳出を圧迫しないような価格設計にならないでほしいです。

参考ページ

感想

個人的には自治体で共通化・標準化する情報システムは、国が開発したらいいのにと思ってしまいます。

現状のシステムから新しいシステムへの移行作業や費用などは発生しますが、その後のプラットフォームとなるシステムを国が作れば、各自治体の開発コストが安くなるからです。

自治体のいろんな手続きがデジタル対応できる、そんな素敵なデジタル社会になっていけばいいなと思います。

ちなみに、会計ソフトも本来は国が開発するべきだと私は思っています。国が会計ソフトを開発しないで、決算を事業者任せにしているから、有料の会計ソフトを利用しなければならないのです。

ここまでくると、国が弥生会計、freeeといった有料会計ソフトを会社ごと買収してしまえばいいと思ったりもします。仕訳を入力すれば、決算まで全自動でやれる世界ができたらいいなと思います。

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
詳細プロフィール

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