夏休み中の児童クラブ(学童保育)の弁当問題について【武豊町】
2023年の夏休みでは、武豊町の児童クラブ(学童保育)で弁当は提供されていません。そこで、令和5年第3回定例会で「夏休み中の児童クラブの弁当問題」について一般質問を行いました。
一般質問の趣旨説明
武豊町では夏休み中に児童クラブ(学童保育)を行っており、親にとっても便利な制度となっています。しかし、夏休み中は給食が提供されず、弁当を持参することになっています。
夏休み中は児童クラブへの送迎に加え、弁当を作ることが「学童弁当」と言われるほど、親の大きな負担となっています。また、夏場の弁当は食中毒の危険性も高くなってしまいます。
愛知県内ではみよし市が2022年から、希望者に対して弁当を届けております。
また、八王子市では2019年から、給食センターや小学校給食調理室を活用することで、期間を限定して昼食を提供しております。
そこで、武豊町における夏休み中の児童クラブの弁当問題を解決するために、以下の質問を行います。
夏休みの児童クラブで給食センターの給食を提供することはできないか?
始めに、学校及び保育園における給食につきましては、給食の実施に必要な施設整備費、修繕費、従事する職員の人件費等は公費負担をしており、食材費については、保護者に負担をして頂き提供しております。
また、学校給食センターでは、夏休みの長期休業期間を普段行うことが出来ない、調理場・調理機器の点検、清掃、修繕工事等に充てており、夏休みについては調理・配送等の業務をお休みさせて頂いております。
現在、児童クラブの利用者は約420名であり、仮に全員に給食を提供するとしても、提供食数が少ないことから、食材費やその他の経費が割高となり、その分、給食費に転嫁され高くなることが想定されます。
学校給食では、大量に調理することで一食の額が抑えられております。現在、新しい学校給食センター建設に向け、基本計画の策定を進めており、将来の児童生徒数の推計から食数を4,000食程度として見込んで進めております。
食数は基本計画策定の基礎となる部分であり、想定する食数を調理できる施設規模などの検討が既に進んでいることから児童クラブで給食を実施する場合については、調理機能・配送等を追加で検討する必要があります。
これらを勘案し、児童クラブへの給食の実施については、困難であります。
保育園の給食調理を利用して、給食を提供することはできないか?
保育園では、夏休み期間中も給食調理をしておりますが、各園の園児数に応じた調理室や厨房機器等が設置されているため、1日に調理できる給食数には、限りがあります。
さらに、給食運搬にかかる時間やコスト、食品の安全性や品質の保持、アレルギー対応などにも課題が多いことから、児童クラブへの提供は、難しいと考えております。
給食提供することができない場合、弁当を希望する児童に対して、武豊町の弁当事業者や飲食店から弁当を提供することはできないか?飲食店の経済支援対策にもなります。
長期休業期間中等の児童クラブにおける、食事提供に関しましては、こども家庭庁から「地域の実情に応じた対応」をするよう、6月28日付けの事務連絡を受けております。
同庁が令和5年5月に実施した調査によりますと、昼食を提供している全国の児童クラブのうち8割程度が、外部から食事を取り寄せる方法を採用しております。
特に、ご提案頂きました弁当の提供につきましては、本町の児童クラブにおいて昼食の提供をする場合に、最も現実的で合理的な方法であると考えております。
本町におきましては、今後、児童クラブ利用者や町内業者等の意向を把握のうえ、実現の可能性について調査研究を進めて参りたいと考えております。
弁当制度を導入する場合、給食費と近い250円程度が理想ですが、最大でも500円程度で導入できないか?
弁当の提供にあたりましては、本町から提示する条件の範囲内で、納入業者側において価格設定されることになります。
その際には、注文数、業者の規模、食材・人件費・光熱費などの諸費用、料理の内容や配達の手間などが勘案されると考えられます。
ご家庭の負担が、できるだけ増えない価格が望ましいことは承知しておりますが、保護者の方からは、料理の内容についても、ある程度の要望があるものと想定しております。
さらに、現在も物価や人件費の上昇が続いていることから、現時点での見込みをお示しすることは、難しいところであります。
従いまして、弁当の価格に関しましては、ご答弁を差し控えさせて頂きたいと思います。
弁当制度を導入する場合において、事業者の弁当代のコストが高くなってしまう場合、夏休み中でも稼働している保育園の給食と共同仕入れを行うことで、仕入れコストを安くするといった官民連携の工夫は可能か?
弁当の提供をする業者につきましては、各業者の規模や厨房施設に応じた利用しやすい食材を選択し、独自の仕入れルートにより入手していると、想定されます。
また、仕入れの際に食材選びを工夫し、柔軟に献立を組み立てることで、コストを抑える努力をしているとも伺っております。
一方、保育園では、栄養士が献立を考える際、コストよりも栄養価や地産地消の面を重視し、食材の手配をしております。
このため、保育園と食材の共同仕入れを実施したと致しましても、弁当のコストは、抑えることが難しいと考えております。
学校の調理室を利用して、昼食を共同で作る日を設けることは可能か?衣浦小学校であれば、近場のスーパーに買い出しを班で行うことも可能です。調理実習や食育にもつながります。
学校の調理室で調理をする際には、普段の児童クラブとは異なる対応が必要となります。
小学校の調理実習は5年生からの実施でありますが、児童クラブでの調理においては、多数の低学年児童を含む子どもたちが、包丁やガスコンロを扱う場合が想定されるため、安全面については一層の配慮が求められます。
同様に、買い出しで施設外に出かける場合には、移動中や店舗内における安全確保が課題となり、見守りをする支援員も多数必要となってまいります。
このようなことから、児童クラブ活動の中で、学校の調理室において昼食を作ることは、難しいと考えております。
子ども食堂を利用、もしくは、出張してもらう形で、昼食を無料で食べられる日を積極的に設けるといった柔軟な対応は可能か?
子ども食堂は、子どもが地域の方々と一緒に食事をすることで、孤立の防止、安心して過ごせる居場所の提供、及び健やかな成長を促す取り組みであります。
本町では、地域住民の方々、民間の飲食店やNPO法人等により、4カ所で定期的に運営されております。
児童クラブの活動中に、全ての児童が子ども食堂を利用、もしくは出張してもらう場合には、受入体制、費用負担、アレルギー対応などの課題が考えられます。
また、クラブの施設外へ出向く場合は、移動中の安全確保についても注意が必要となります。
以上のことから、現時点においては、子ども食堂の利用について、考えておりません。
感想
武豊町で夏休みの学童保育に昼食を提供するなら、弁当方式が一番良さそうという結果になりました。
あとは、弁当事業者さんが個数供給や食中毒対策などを踏まえて、学童保育に弁当提供できるかどうかが今後の課題となりそうです。
2023年現在で最大420食となるので、1店舗で対応が難しければ複数店舗で分担するのも手です。これだけの食数があれば、原価次第とはなりますが、売上も見込めます。
実際、夏休みに学童保育に預けたいけど、弁当を作るのは大変でやめたという声も聞きます。今後、学童保育はどんどん増えていくと思うし、昼食提供が普通となる時代が来ると考えています。
早めに町内の事業者と連携して、夏休みでも弁当を作る負担なしで、気軽に学童保育に預けられる武豊町になったらうれしいです。
また、学童弁当問題は共働き世帯の増加に伴って、今後さらに大きな問題になると思います。自治体負担ではなく、国としての方針や補助金対応なども重要だと考えます。
参考ページ
- 夏休みの学童保育で昼食提供されるの?東京23区で調べてみた(NHK)
- 学童保育の夏休み昼食推進 こども家庭庁、親の負担減 自治体に検討促す(産経新聞)
- 学童保育施設に高まる昼食提供の需要と現状(みよし市では実施)
- 夏休みの学童保育所で小学校給食調理室を活用し昼食提供(八王子市)
- 子どもたちは夏休みの一方…「お弁当作り大変」「給食が恋しい」と嘆く保護者 学童で給食を提供する都内の自治体を取材
ショート動画
TikTokもあります。