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広域の開発体制、開発人材シェアリングが自治体DX推進計画成功のポイント

2023年08月22日 更新2023年08月22日 公開

優秀なDX人材を各自治体で採用することは難しく、共通システムを各自治体で開発する必要は少ないと感じます。

自治体DX推進計画を成功させるポイントは、国や都道府県といった広域の開発体制、開発人材シェアリングではないかと考えています。

国、都道府県による市区町村支援を推奨

「情報システムの標準化・共通化行政手続のオンライン化等の自治体におけるDXの取組を効果的に実行していくためには、国が主導的な役割を果たしつつ、市区町村を含め、自治体全体として、足並みを揃えて取り組んでいく必要がある。その着実な取組のためには、都道府県が市区町村に対し、本計画に記載された自治体DX推進の具体的な内容を十分に伝えるとともに、必要な助言を行うことで、市区町村の計画的な取組を支援するなど、都道府県が一定の役割を果たすことが期待される。」

と「自治体DX推進計画(p12)」にも記載されています。

DX人材がいる自治体は少ないので、国や都道府県による支援がなければ、自治体DX推進計画を進めることはかなり難しいと感じています。結局、現在の開発業者に丸投げするだけになってしまいそうです。

開発人材シェアリングも推奨

「限られたデジタル人材を市区町村が活用するには、都道府県による市区町村の人材ニーズの把握・調整等を通じた複数の市区町村での兼務等の手法も考えられる。さらに、デジタル技術の導入に当たっては、データの集積による機能の向上や導入費用の負担軽減、共通する地域課題の解決のノウハウを効果的に市区町村間で情報共有する等の観点から、共同導入・共同利用の推進が有効であるため、都道府県の主導も効果的である」

DX人材の採用はIT企業でも難しいため、広域での開発体制や人材シェアリングを行うことが重要です。

各自治体で必要な組織体制の人材を採用すると、たくさんのDX人材が必要になるし、優秀なDX人材はそんなにいません。

また、各自治体で採用する自治体ごとに人件費がかかってしまい、税金が無駄遣いされる結果となってしまいます。開発コストを国全体で下げるためにも、人材シェアリングはかなり重要だと感じます。

ちなみに、市町村数は2023年8月現在で1,718です。1,718市町村が個別採用すると、DX人材は枯渇すると思いませんか?

広域の開発体制が重要

標準仕様をあそこまで定めている共通システムなら、国が使い回せるシステムを作ればいいなと思うのが本音です。ノーコードツールを開発し、UI・UXを自治体がカスタマイズできるようにすればいいのです。

国が難しくても、都道府県単位、広域のエリア単位で対応していけば、開発コストを抑えることができ、税金の節約にもつながります。

国がやるべきこと、自治体がやるべきことは明確に分け、無駄を省く開発体制構築が重要だと考えます。個別対応していたら、日本のDX対応はどんどん後手に回るでしょう。

現状のように、自治体DX推進計画や標準仕様だけ国が作成して、自治体に丸投げするだけではいけないように感じます。

感想

自治体DX推進計画を成功させるのであれば、国や都道府県単位の広域開発、開発人材シェアリングが重要だと思います。

また、各自治体で独自開発しなくてもいいような共通のシステムは、国が主導で開発して自治体に提供すればいいのにと感じます。

国としてなすべきこと、自治体がなすべきことはちゃんと考える必要があると感じました。方針だけ示して、個別で開発を丸投げしても、結局開発業者に丸投げするだけになってしまいそうです。

「国が丸投げ→自治体が開発業者に丸投げ→開発業者ウハウハ」

という負のスパイラルだけは、なんとか避けてほしいところです。

参考ページ

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
IT・Web会社の社長
詳細プロフィール

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