自治体の行政手続のオンライン化
自治体といえば対面で書類手続きというのが主流となっています。しかし、自治体DX推進計画を進めることで、自治体の行政手続のオンライン化を進めることが可能となります。
行政手続はオンライン化する流れ
引越しワンストップサービスに対応して、マイナポータルの機能を改修し、オンラインによる転出届・転入予約を推進するとともに、2021年度に実装した地方公共団体との接続機能を活用し、全ての地方公共団体によるマイナポータルへの接続を実現する。
また、2022年度末を目指して、原則、全ての地方公共団体で、特に国民の利便性の向上に資する行政手続について、マイナポータルからマイナンバーカードを用いたオンライン手続を可能にする。
このため、全ての地方公共団体におけるマイナンバーカードを用いた子育て・介護等のオンライン手続が可能となるよう、システム改修などを支援するとのことです。
行政手続きは対面の書類提出だらけなので、早くオンライン対応できるように進めてほしいです。ただ、実際には小さな自治体では行政手続のオンライン化は、なかなか進んでいない状況です。
マイナポータルからのオンライン対応はしていますが、バックエンド側の運用なアナログ運用のままのケースも多いです。
また、ガバメントクラウドへの対応があるので、独自に行政のオンライン化を進めると、再度開発しなければいけません。国の計画もあってがんじがらめの状態なので、なかなかオンライン化を進められない状態でもあります。
トータルデザインで目指すオンライン化の姿
品質・コスト・スピードを兼ね備えた行政サービスに向けて、アーキテクチャ設計の在り方を根本から見直す。具体的には、
「スマートフォンで、60秒で手続が完結」
「7日間で行政サービスを立ち上げられる」
「民間並みのコスト」
とともに、データの分散管理やセキュリティ、個人情報保護、災害等に対する強靱性を確保することも含め、国・地方公共団体・民間を通じたアーキテクチャの将来像を整理し、デジタル庁が中心となり、2025年を当面の実装ターゲットとして、関係府省庁と連携して必要な制度・システムの両面から検討を進める。
行政サービスの将来像の検討に当たっては、利用者目線を徹底する必要がある。
その上で、公金受取口座の登録を推進するなど、支援を必要とする方に手が差し伸べられ、迅速な支援が受けられる環境を整備し、官民それぞれが持つ情報と住民接点を最大限活かして住民に寄り添った支援を行うといった、デジタル社会における「デジタル・セーフティーネット」の仕組みの構築が求められる。
また、手続を行う国民だけではなく、行政事務を担う職員の負担を軽減することも期待される。
あわせて、民間サービスも行政サービスのフロントエンドを担えるようにすることで、国民がより多様なUI・UXを選択できるようにするとともに、多様なサービスの新規参入を促し、民間が保有する自らのデータを活用できるようにすることにより、民間サービスと行政サービスとの一層の連携等を通じて民間サービスに新たな機会を提供しつつ、行政DXを官民共創で進めるエコシステムを創出することも重要となる。
トータルデザインの実現に向けて、こうした行政サービスとエコシステムの将来像を実現するようなアーキテクチャを設計する。
個人的な意見としては、UI・UXが自治体で個別対応できたら理想かもしれませんが、そこまで財政が豊かではない自治体が多いです。
また、各自治体でUI・UXが違うと、同じ手続きでもわかりにくくなります。それだったら、国が最高のUI・UX部隊を準備して、一律でわかりやすいようにしたほうがいいようにも感じます。
例えば、メルカリが各自治体で使い方が違っていたら、すごく使いにくいサービスになりますよね?全国版メルカリがあって、武豊町版メルカリとかあったら、カオスな世界になります。
もちろん、今の国が主導すると微妙なサービスになりそうですが、ちゃんとした会社に依頼すれば、使いやすいUI・UXを実現した行政サービスが実現できるように思います。
アナログ規制の見直し
行政手続のオンライン化等を行うことで、行政手続コストの20%程度が削減され、1.3兆円の経済効果があるという調査結果が出ています。
そのため、経済界要望等の多くを占める書面・対面の行政手続について、デジタル原則への適合に向けて、ルール・慣行の見直し、業務のDX、システム整備の一体的な取組を推進するとのことです。
特に、エンドツーエンド(最初から最後まで)でのデジタル完結を目指す観点から、申請などについて、2025年までに原則オンライン化する方針とのことです。
また、書面による交付・通知を行う手続の見直しも併せて進めるとともに、引き続き、地方公共団体などと事業者の間の手続のデジタル化、行政手続におけるキャッシュレス化を推進するとのことです。
オンライン化のスケジュール方針
2022年度には、全市区町村においてマイナポータルを通じた、オンラインによる転出届・転入予約を実現できるよう、マイナポータルを改修するとともに、市区町村のシステム改修等に対する支援を行っています。
また、デジタル化による利便性の向上を国民が早期に享受できるよう、2022年度末を目指して、原則、全自治体で、特に国民の利便性向上に資する手続(次の見出しで紹介)について、マイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能にするとのことです。
さらに、居住する市町村をはじめ、様々な行政機関から各市民へのお知らせを、的確にお届けできる仕組みの構築を進めるとのことです。
これが使いやすいように実現できれば、めちゃくちゃ便利ですよね。また、お知らせ通知の仕組みができれば、主流となっている公式LINE運用や一斉通知する際の有料費用が不要となりますね。
ただし、LINEばりの使いやすさを、国が実現できるかどうかは不明です。
積極的にオンライン化を進める31の手続
以下の31手続を対象として、積極的・集中的にマイナポータルを活用したオンライン化を進める予定です。
子育て関係
- 児童手当等の受給資格及び児童手当の額についての認定請求
- 児童手当等の額の改定の請求及び届出
- 氏名変更/住所変更等の届出
- 受給事由消滅の届出
- 未支払の児童手当等の請求
- 児童手当等に係る寄附の申出
- 児童手当に係る寄附変更等の申出
- 受給資格者の申出による学校給食費等の徴収等の申出
- 受給資格者の申出による学校給食費等の徴収等の変更等の申出
- 児童手当等の現況届
- 支給認定の申請
- 保育施設等の利用申込
- 保育施設等の現況届
- 児童扶養手当の現況届の事前送信
- 妊娠の届出
*2023年3月に武豊町は対応済
介護関係
- 要介護・要支援認定の申請
- 要介護・要支援更新認定の申請
- 要介護・要支援状態区分変更認定の申請
- 居住(介護予防)サービス計画作成(変更)依頼の届出
- 介護保険負担割合証の再交付申請
- 被保険者証の再交付申請
- 高額介護(予防)サービス費の支給申請
- 介護保険負担限度額認定申請
- 居宅介護(介護予防)福祉用具購入費の支給申請
- 居宅介護(介護予防)住宅改修費の支給申請
- 住所移転後の要介護・要支援認定申請
*2023年3月に武豊町は対応済
被災者支援関係
- 罹災証明書の発行申請
*2023年3月に武豊町は対応済
自動車保有関係
- 自動車税環境性能割の申告納付
- 自動車税の賦課徴収に関する事項の申告又は報告
- 自動車税住所変更届
- 自動車の保管場所証明の申請
地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続
上記以外にも重点計画の「オンライン化を実施する行政手続の一覧等のⅤ地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続(149p部分)」のオンライン化も積極的に進める予定とのことです。
処理件数が多く、オンライン化の推進による住民等の利便性の向上や業務の効率化効果が高いと考えられる手続
- 図書館の図書貸出予約等
- 文化・スポーツ施設等の利用予約
- 研修・講習・各種イベント等の申込
- 地方税申告手続(eLTAX)
- 自動車税環境性能割の申告納付
- 自動車税の賦課徴収に関する事項の申告又は報告
- 自動車税住所変更届
- 水道使用開始届等
- 港湾関係手続
- 道路占用許可申請等
- 道路使用許可の申請
- 自動車の保管場所証明の申請
- 駐車の許可の申請
- 建築確認
- 粗大ごみ収集の申込
- 産業廃棄物の処理、運搬の実績報告
- 犬の登録申請、死亡届
- 感染症調査報告
- 職員採用試験申込入札参加資格審査申請等
- 入札
- 衆議院・参議院選挙の不在者投票用紙等の請求
- 消防法令における申請・届出等
住民のライフイベントに際し、多数存在する手続をワンストップで行うために必要と考えられる手続
子育て関係
- 児童手当等の受給資格及び児童手当の額についての認定請求
- 児童手当等の額の改定の請求及び届出
- 氏名変更/住所変更等の届出
- 受給事由消滅の届出
- 未支払の児童手当等の請求
- 児童手当等に係る寄附の申出
- 児童手当に係る寄附変更等の申出
- 受給資格者の申出による学校給食費等の徴収等の申出
- 受給資格者の申出による学校給食費等の徴収等の変更等の申出
- 児童手当等の現況届
- 支給認定の申請
- 保育施設等の利用申込
- 保育施設等の現況届
- 児童扶養手当の現況届の事前送信
- 妊娠の届出
介護関係
- 要介護・要支援認定の申請
- 要介護・要支援更新認定の申請
- 要介護・要支援状態区分変更認定の申請
- 居宅(介護予防)サービス計画作成(変更)依頼の届出
- 介護保険負担割合証の再交付申請
- 被保険者証の再交付申請
- 高額介護(予防)サービス費の支給申請
- 介護保険負担限度額認定申請
- 居宅介護(介護予防)福祉用具購入費の支給申請
- 居宅介護(介護予防)住宅改修費の支給申請
- 住所移転後の要介護・要支援認定申請
被災者支援関係
- 罹災証明書の発行申請
- 応急仮設住宅の入居申請
- 応急修理の実施申請
- 障害物除去の実施申請
- 災害弔慰金の支給申請
- 災害障害見舞金の支給申請
- 災害援護資金の貸付申請
- 被災者生活再建支援金の支給申請
転出・転入手続関係
- 転出届
- 転入予約
マイナポータルの利用は避けられない
「電子申請の受付等に利用するシステムは、将来的にはマイナポータルの活用を前提に検討を進めることとする」
と記載されているので、マイナポータルの利用は避けられないと思います。マイナポータルのアプリはまだまだ使いにくいなと感じるので、使いやすいUI・UXに改善してほしいです。
予算がちゃんとあるなら、しっかりした代理店さんに依頼して、国民が使いやすいサービスにしてほしいなと思います。
マイナポータルって、マイナポイントのためだけのアプリだけだと思っていましたが、そうじゃなかったのですね。
マイナポータルAPIもある
マイナポータルAPIがあることにびっくりしました。APIがあれば、民間がAPIを活用していろんなサービスを作れますね。
*APIとは、他のサービスからいろんなデータなどを引っ張っぱり、送信したりするサービスと考えてください。エクセルでいうvlookupみたいなものです。
参考ページ
感想
自治体の行政手続のオンライン化が進めば、いろんな手続きが楽になります。役所に出向く必要も減り、紙を書く必要もどんどんなくなっていくでしょう。
システムの標準化などやることがたくさんあるので、書かない窓口対応などにすぐ取り組むのは難しいでしょうが、どんどん便利な行政になってほしいです。