国民負担率の推移と五公五民の現実!国際比較すると高い?安い?
仕事をどれだけがんばっても、若者世代の生活はなかなか楽になりません。それは、国民負担率が高くなっているからです。
しかし、この国民負担率とは、どんな意味なのでしょうか?国民負担率の推移、五公五民の現実、国際比較するとをお伝えします。
国民負担率とは
国民負担率をわかりやすく説明すると、国民所得(*1)に対する税金負担(*2)と、社会保障負担の合計額の割合となります。以下の計算式で算出できます。
(税金負担+社会保障負担)÷国民所得
また、財務省の定義は、租税負担、及び、社会保障負担を合わせた義務的な公的負担の国民所得に対する比率となっています。
*1:国民全体が得る所得の総額のことで、国民総所得-減価償却費-間接税
*2:国民全体の所得に占める所得税、法人税、消費税、資産課税など
潜在的国民負担率とは
潜在的国民負担率とは、国民負担率に将来世代の潜在的な負担として、財政赤字を加えた額の比率のことを意味します。
国民負担率、潜在的国民負担率の推移
年度 | 税金負担 | 社会保障負担 | 国民負担率 | 財政赤字 | 潜在的国民負担率 |
---|---|---|---|---|---|
1970年 | 18.9 | 5.4 | 24.3 | 0.5 | 24.9 |
1971年 | 19.2 | 5.9 | 25.2 | 2.5 | 27.7 |
1972年 | 19.8 | 5.9 | 25.6 | 2.8 | 28.4 |
1973年 | 21.4 | 5.9 | 27.4 | 0.7 | 28.1 |
1974年 | 21.3 | 7 | 28.3 | 3.3 | 31.6 |
1975年 | 18.3 | 7.5 | 25.7 | 7.5 | 33.3 |
1976年 | 18.8 | 7.8 | 26.6 | 7.2 | 33.8 |
1977年 | 18.9 | 8.3 | 27.3 | 8.3 | 35.6 |
1978年 | 20.6 | 8.5 | 29.2 | 8 | 37.1 |
1979年 | 21.4 | 8.8 | 30.2 | 8.7 | 38.9 |
1980年 | 21.7 | 8.8 | 30.5 | 8.2 | 38.7 |
1981年 | 22.6 | 9.6 | 32.2 | 8.2 | 40.4 |
1982年 | 23 | 9.8 | 32.8 | 7.9 | 40.6 |
1983年 | 23.3 | 9.7 | 33.1 | 7.1 | 40.1 |
1984年 | 24 | 9.8 | 33.7 | 5.9 | 39.7 |
1985年 | 24 | 10 | 33.9 | 5.1 | 39 |
1986年 | 25.2 | 10.1 | 35.3 | 4.3 | 39.6 |
1987年 | 26.7 | 10.1 | 36.8 | 2.9 | 39.6 |
1988年 | 27.2 | 9.9 | 37.1 | 1.4 | 38.5 |
1989年 | 27.7 | 10.2 | 37.9 | 1 | 38.9 |
1990年 | 27.7 | 10.6 | 38.4 | 0.1 | 38.5 |
1991年 | 26.6 | 10.7 | 37.4 | 0.5 | 37.9 |
1992年 | 25.1 | 11.2 | 36.3 | 4.5 | 40.8 |
1993年 | 24.8 | 11.5 | 36.3 | 6.7 | 43 |
1994年 | 23.2 | 11.7 | 34.9 | 8.2 | 43.1 |
1995年 | 23.3 | 12.4 | 35.7 | 9.1 | 44.8 |
1996年 | 22.9 | 12.3 | 35.2 | 8.5 | 43.7 |
1997年 | 23.5 | 12.8 | 36.3 | 7.5 | 43.9 |
1998年 | 23 | 13.2 | 36.2 | 10.3 | 46.5 |
1999年 | 22.3 | 13.1 | 35.4 | 11.9 | 47.4 |
2000年 | 22.6 | 13 | 35.6 | 9.5 | 45.1 |
2001年 | 22.7 | 13.8 | 36.5 | 9 | 45.6 |
2002年 | 21.2 | 13.9 | 35 | 10.6 | 45.6 |
2003年 | 20.5 | 13.6 | 34.1 | 10 | 44.1 |
2004年 | 21 | 13.5 | 34.5 | 7.6 | 42 |
2005年 | 22.4 | 13.8 | 36.2 | 5.6 | 41.8 |
2006年 | 22.9 | 14 | 37 | 4.1 | 41 |
2007年 | 23.5 | 14.4 | 37.9 | 3.5 | 41.4 |
2008年 | 23.4 | 15.8 | 39.2 | 6.1 | 45.3 |
2009年 | 21.4 | 15.8 | 37.2 | 12.5 | 49.7 |
2010年 | 21.4 | 15.8 | 37.2 | 10.9 | 48.1 |
2011年 | 22.2 | 16.7 | 38.9 | 11.5 | 50.3 |
2012年 | 22.8 | 17.1 | 39.8 | 10.4 | 50.3 |
2013年 | 23.2 | 16.9 | 40.1 | 9.3 | 49.4 |
2014年 | 25.1 | 17.3 | 42.4 | 7.6 | 50 |
2015年 | 25.2 | 17.1 | 42.3 | 6.1 | 48.4 |
2016年 | 25.1 | 17.6 | 42.7 | 6.4 | 49.1 |
2017年 | 25.5 | 17.8 | 43.3 | 5.1 | 48.4 |
2018年 | 26 | 18.2 | 44.2 | 4.4 | 48.6 |
2019年 | 25.7 | 18.6 | 44.3 | 5.3 | 49.6 |
2020年 | 28.2 | 19.8 | 47.9 | 15 | 62.9 |
2021年 | 28.9 | 19.3 | 48.1 | 9.2 | 57.4 |
2022年 | 29.4 | 19.0 | 48.4 | 6.3 | 54.7 |
2023年 | 27.5 | 18.6 | 46.1 | 8.5 | 54.6 |
2024年 | 26.7 | 18.4 | 45.1 | 5.8 | 50.9 |
- 国民負担率は上がり続けている
- 1970年と2022年を比較すると国民負担率は約2倍
- 2013年には国民負担率が40%を突破
- 国民負担率はそろそろ50%を超えそう
- 国民負担率の20%は社会保障負担率
*単位は%、2022年度までは実績、2023年度は実績見込み、2024年度は見通し
*詳細データは令和6年度の国民負担率公表データを参照
年度 | 国民負担率 | 平均年収 |
---|---|---|
1992年 | 36.3% | 455万円 |
1993年 | 36.3% | 452.2万円 |
1994年 | 34.9% | 455.5万円 |
1995年 | 35.7% | 457.2万円 |
1996年 | 35.2% | 460.8万円 |
1997年 | 36.3% | 467.3万円 |
2005年 | 36.2% | 436.8万円 |
2010年 | 37.2% | 412万円 |
2011年 | 38.9% | 409万円 |
2012年 | 39.8% | 408万円 |
2013年 | 40.1% | 413.6万円 |
2014年 | 42.4% | 420.9万円 |
2015年 | 42.3% | 423.4万円 |
2016年 | 42.7% | 425万円 |
2017年 | 43.3% | 433.6万円 |
2018年 | 44.2% | 439.1万円 |
2019年 | 44.3% | 438.4万円 |
2020年 | 47.9% | 435.1万円 |
2021年 | 48.1% | 445.7万円 |
2022年 | 48.4% | 457.6万円 |
- 1992年と2022年を比較すると国民負担率は12.1%増加
- 1992年と2022年を比較すると平均年収は0.6%増加
- 日本人の平均年収は30年間ほぼ上がっていない!国民負担率は上がり続ける!そりゃ、少子化にもなるわ…(失われた30年間ってやつ)
国民負担率の見通し、実績見込みは実績より数値が高くなる傾向
国民負担率の見通し、実績見込みは実績より数値が高くなる傾向にあります。
年度 | 実績 | 実績見込み | 見通し |
---|---|---|---|
2018年 | 44.2 | 42.8 | 42.5 |
2019年 | 44.3 | 43.8 | 42.8 |
2020年 | 47.9 | 46.1 | 44.6 |
2021年 | 48.1 | 48.0 | 44.3 |
2022年 | 48.4 | 47.5 | 46.5 |
2023年 | - | 46.1 | 46.8 |
2024年 | - | - | 45.1 |
そのため、実績値をとばは利用させていただきます。
国民負担率を国際比較すると?
国民負担率は国際比較すると高くないように見えますが、実際には社会保険の比較条件が同一ではありません。
そのため、単純に数字を高い低いと比較することはできません。実際、北欧では教育費や医療費などが無料となる国が多いので、実際の負担感は低い傾向にあります。
例えば、国民負担率が高いフィンランドは小学校から大学まで教育費が無料ですし、給食費や教科書代も無料です。医療費も公立病院であれば負担は低くなっています。
また、デンマークも公立校、大学も教育費が無料です。また、公立病院は無料となっています。こんな感じで比較条件が同一ではないので、国民負担率を比較してもあまり意味がないように思います。
さらに、海外では国民所得ではなく、GDPを利用して国民負担率を算出するのが一般的となっています。日本の行政は数字マジックがお好きなのです。国民は正しい知識を持って、数字マジックに騙されないようにする必要があります。
*国民負担率の国際比較(OECD加盟36ヵ国)(財務省)のグラフを参照
国民負担率が高いなら教育の無償化を導入するべき
教育は無償化、医療費も無料
デンマークの国民負担率 →65.1%
高福祉・高負担に分類
教育の無償化は進んでいない、医療費安い
日本の国民負担率 →48.4%
中福祉・低負担に分類
日本の国民負担率は1970年から20%以上も高くなっているのに「教育の無償化」は進んでいない…
国民負担率はどんどん高くなっているので「教育の無償化」を導入するべき!中福祉・中負担が日本には合いそうですね!
五公五民の現状
最新の国民負担率の実績ベース(2022年度)では、国民負担率は48.4%、潜在的国民負担率は54.7%です。財政赤字まで含めると五公五民を超えています。
「今の人は共働きだから、昔よりは楽でしょ?」
という言葉をいただくことがありますが、実際に同じお金を稼いでも半分は税金で持っていかれるわけです。
1970年と比べると、25%程度も税金は高くなっているわけです。そして、日本の平均年収は1991年から30年間、ほとんど上がっていません。
そして、その内訳としては社会保険料の負担率が突出して高くなっています。
そりゃ、共働きしても生活はなかなか楽にならないわけです。そろそろ、一揆を起こさないといけないレベルになっているのです。
感想
国民負担率という言葉の定義がよくわかっていなかったので、まとめてみました。しかし、国民負担率はエグいくらいに高くなっているなと感じます。
50%も持っていかれるから、共働きもしないといけないし、共働きしているのに生活も楽にならないわけです。
そろそろ抜本的に日本を変えないと、日本は本当に沈没するだろうなと思います。もっと未来ある日本の経済にしていきたいです。
「1人の高齢者を支える現役世代は何人?社会保険料の仕組みは破綻している」も参考にしてください。