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定額減税の調整給付で地方自治体にかかるコストは?武豊町だけで約1,800万円!

2024年07月09日 更新2024年07月01日 公開

国の目玉減税政策でもある「定額減税」ですが、事業者だけでなく地方自治体にも大きな事務負担をかけています。

定額減税の調整給付で地方自治体にかかるコストや労力はどれくらいでしょうか?武豊町でかかる費用を具体例としてご紹介します。

定額減税とは

定額減税とは、納税者本人とその扶養家族1人につき

所得税が3万円
住民税が1万円
合計で4万円

が税金から控除される減税政策です。

地方自治体が対応する定額減税調整給付とは

地方自治体が対応する定額減税調整給付とは、定額減税可能額が減税前税額を上回る(減税しきれない)と見込まれる所得税・住民税の納税義務者に対して、差額を給付することを意味します。

年末調整や住宅ローンなどを利用すると、所得税や住民税などが0円以下になってしまうと、いつまでたっても減税できません。そこで、調整給付で減税分のお金を払ってあげるわけです。

対象者

定額減税可能額が、令和6年に入手可能な課税情報を基に把握された当該納税者の「令和6年分推計所得税額」(令和5年分所得税額)又は「令和6年度分個人住民税所得割額」を上回る者

(減税対象人数)
納税者本人+同一生計配偶者+扶養親族(16歳未満扶養親族を含む)の数

給付額

(1)所得税分定額減税可能額-令和6年分推計所得税額(令和5年分所得税額)
(2)個人住民税所得割分減税可能額-令和6年度分個人住民税所得割額
(1)+(2)(合算額を万円単位に切り上げる)

計算例

所得税1万円
住民税所得割2万円

まずは減税。所得税から1万円の減税、住民税所得割から1万円の減税します。
次に調整給付。定額減税しきれない所得税分の2万円が、調整給付金として支払われます。

システム改修を中心とした定額減税対応が必要

定額減税の対応をするために、地方自治体はシステム改修や人の対応が必要です。とばが議員をしている武豊町でもかなりの金額がかかります。

全体で1,752万円もかかり、そのうちシステム改修費用が997.5万円もかかります。補助率は10/10の見込みなので武豊町には負担はかかりませんが、国の税金は私たちが納める税金です。こんな無駄なシステム改修に使ってほしくないです。

項目 金額(千円)
会計年度任用職員報酬 1,207
時間外勤務手当 990
会計年度任用職員費用弁償 30
消耗品費 257
印刷製本費 593
通信運搬費 2,861
口座振込手数料 1,515
振込組戻手数料 9
電話架設料 11
調整給付システム電算業務委託料 9,975
複写機賃借料 72

また、それ以外にも

住民税システム電算業務委託料15.4万円
子育て支援システム改修委託料:11万円

もかかります。これは定額減税に伴う標準レイアウト変更なので、国からの補助はありません。

定額減税のシステム改修内容

*定額減税で支払われるのは、3.91億円。8月末までに郵送など、専用窓口も設ける予定。対象者は約8,000人。

条例変更も必要

定額減税の対応に伴い、武豊町の条例変更も必要となります。定額減税の対応をするためだけに、条例の改正も必要となるわけです。

地方自治体の事務負担多すぎ

「簡素(わかりやすく事務負担が少ない)」「迅速(特に低所得の方々)」「適切(できるだけ公平に)」のバランスと記載されていますが、よくこれだけ複雑で事務負担のかかる減税制度をやってくれたなと思います。

システム改修、条例の改正も必要です。地方自治体だけじゃなく、事業者も年末調整ばりの事務負担がかかります。国は定額減税の事務負担が少ないとでも考えているのかなと不思議になります。もっとシンプルな減税対応にすればいいのに。

武豊町で定額減税にかかる費用

人口約43,000人の武豊町で定額減税にかかる費用は、

システム改修:約1,030万円
人件費や振込手数料など:約750万円

となります。武豊町だけで約1,800万円もかかるわけです。この思いつきの定額減税の対応で、武豊町だけで約1,800万円もかかる現実どう思いますか?

1,741全市区町村でも同様の費用がかかる

人口やシステム状況による差もあるでしょうが、全市区町村1,741でこのような費用がかかるわけです。減税するためにこれだけの費用がかかるのはちょっと納得いきません…

感想

定額減税って事業者だけでなく、地方自治体にも大きな事務負担をかける減税施策となっています。事業者にも、地方自治体にも事務負担が少ない減税対策は考えられなかったのかな?

行政は民間と大きくかけ離れているなと感じる部分です。税金もシステムもシンプルにわかりやすくすればいいのに、どんどん複雑化しているのはいけないと思います。民間の考え方がこれからの政治に必要です。

参考ページ

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
詳細プロフィール

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