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組織票は違法?選挙の組織票の仕組み

2023年07月18日 更新2023年07月14日 公開

日本の選挙や投票率が低いため、組織票が強いと聞いたことはありませんか?選挙の組織票の仕組み、違法かどうかなどをご説明します。

組織票とは

組織票(そしきひょう)とは、選挙のときに特定の候補者や政党に投票するように、会社、団体、宗教といった有力な組織ごとに集められた票のことです。固定票の一種となっています。それでは、主な組織票を紹介します。

業界団体

経済団体、経営団体などの業界団体は、強い組織票となります。商工会議所、青年会議所、法人会といった経済団体などは、組織票が強い傾向にあります。農業、建設系の組織票が強いなと感じることが多いです。

労働組合

大手企業を中心とした労働組合は、大きな組織票となっています。労働組合から代表議員を出すことも多いです。製造業の労働組合は、非常に強い組織票となっています。

宗教団体

新興宗教を中心とした組織票は、日本においては非常に強い影響力があります。統一教会が問題になりましたが、組織票としてそれだけ強力なことがわかります。

よくある組織票

市区町村の地区、PTA、消防団、学校の同窓会、ボランティア、NPO法人などもよくある組織票となっています。祭りが盛んな地域だと、祭りの団体からの組織票も強いです。

選挙の大きさや市町村によって、組織票の種類は変わってくるのは面白いところです。

組織票の仕組み

組織票の仕組みとしては、会社や業界団体が選挙のときに、特定の候補者や政党に投票するように、関係者に対して依頼をすることで、多くの票をまとめます。例えば、大きな会社で働くと労働組合から、

「○○党の応援をお願いします」
「○○さんの応援をお願いします」

と言われたことがあるかと思います。これがよくある組織票の仕組みです。組織票をまとめて、特性の候補者や政党を支持することで、大きな見返りや利益が得られるので、組織票が存在しているわけです。

投票率が低いほど、組織票が有利となる

組織票は、一定の投票数を見込むことができます。そのため、投票率が低くなるほど、組織票が有利となる仕組みとなっています。

具体例で考えるとわかりやすいので、組織票が10万票あった場合で考えてみましょう。全体の投票率が高くて100万票あるとすれば、組織票は10%の割合になります。

10万票÷100万票=10%

しかし、全体の投票率が低くて20万票しかなければ、組織票は50%の割合になってしまうのです。

10万票÷20万票=50%

そのため、投票率が低いほど、組織票が有利となってしまうのです。現在の日本は投票率が低いので、組織票がある政党が強くなっているのが現状です。

組織票で政治を左右されたくないのであれば、投票に行くしかないのです。それだけ、私たちの一票は、強い力を持っているのが本当なのです。

組織票は違法?

選挙には公職選挙法と呼ばれる法律があります。公職選挙法の範囲内であれば、組織票は違法とはなりません。公職選挙法を守らない組織票だと、違反となります。

そのため、組織票が違反になるかどうかは、ケースバイケースとなります。例えば、選挙期間中であれば、

「◯◯さんに投票してください」
「◯◯党に投票してください」

と言っても違法にはなりません。しかし、政治活動中で、上記の発言をすれば違反となります。ただし、後援会として応援する形であれば、政治活動中でも違法にはなりません。

公職選挙法を守っていれば、組織票は合法になるわけです。そのため、組織票は選挙にはあるものだと考えたほうがいいです。組織票そのものをなくすことは、できないと思います。

組織票を強制されても、誰に投票するかは自由

労働組合に属していると、組織票をほぼ強制の形で依頼されることが多いです。組織票を強制されると、特定の候補者や政党に投票しないといけないと思いますよね?

しかし、日本では「自由選挙」が原則となっており、誰に投票するかは自分の意志で決めることができます。

また、「秘密投票」が原則となっているので、誰が誰に投票したかは、わからないような方法で選挙が行われています。

そのため、組織票を強制されたとしても、自分が投票したい人に自由に投票することができるのです。

最近では、投票済証を持ってくるように指示する組合もあります。でも、誰に投票したかどうかはまで、投票済証ではわかりません。

そして、誰に投票したかまで確認する労働組合は少ないと思います。自由選挙に反してしまうからです。

組織票を誰かから強制的に依頼されても、どの政党に投票してもいいですし、誰に投票してもいいのです。投票は自由な権利なのです。

感想

投票率が低い日本では、組織票が多い政党が選挙で有利になっています。そのため、投票率を高めることしか、組織票に勝つ方法はありません。

私は自分が議員になって初めて、一票の強さを思い知らされました。私たちの一票は、それだけ政治を変える力があります。組織票で左右される政治にさせないためにも、投票率を高めることが本当に重要です。

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
IT・Web会社の社長
詳細プロフィール

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