クンバハカ(神経反射作用の調節法)

2021年06月11日 公開

クンバハカとは、神経反射作用の調節法のことです。インドのヨガ哲学の秘法であるクンバハカ密法から引用して、中村天風氏が考えた特殊の身体の持ち方です。

天風氏は「クンバハカ」「自己調和法」「神経反射作用の調節法」と呼んでいますが、全部同じ意味だと考えていいと思います。

「印度ヨガ哲学の秘法クンバハカ密法=kumvaphaccaと称するものから引用して、私が創意した特殊の体のもち方posture regulationなのである。便宜上これを「自己調和法」と名づける。(中村天風、真人生の探求p194)」

クンバハカのやり方

「感覚や感情の刺戟や衝動を受けた刹那、何を措いても、先ず第一に肛門を締めるのである。そして同時に、肩を充分に力を脱いておろし、と同時に下腹部に力を充実せしめるのである。即ち尻、肩、腹の三位を一体として、前記のとおり同時に処置するのである。(中村天風、真人生の探求p175)」

感覚や感情の刺激や衝動を受けた瞬間に、第一に肛門を締めることです。同時に、肩の力を脱いておろし、同時に下腹部に力を入れます。尻、肩、腹を三位一体で同時に行うだけです。

「一体こういう方法を行うと、どういう理由で、神経叢の動乱を鎮圧し得て、その安定を確保することが出来るのか(中略)先ずその順序として、神経叢というものから説明する。(中村天風、真人生の探求p176)」

なぜクンバハカを行うと神経叢の混乱を鎮圧させて安定できるかということを理解するには、神経叢や活力の仕組みについて理解しなければいけません。

神経叢とエネルギーの関係は?活力は失うときは瞬間的で無限、受け入れるのは時間的で有限に注意したい件」も参考にしてください。

下腹部が凹む人は、先に腹に力を入れてふくらませてから肛門を締めよう

「最初の間肛門を締めて、下腹部に力を充実せしめようとすると、反対に下腹部が凹む人がある、そういう人は、腹の方から先に力を入れて膨らして後、静かに肛門を締めるということを行って見ることである。すると間もなく、肛門を締めて下腹部に充分満々たる力が充実するようになる。
但し、そういう場合、肩の力を脱くことをくれぐれも忘れぬように注意しなければならない。要は、熱心に練習することである。(中村天風、真人生の探求p186)」

クンバハカを始めた人が注意したいことは、肛門を締めて下腹部に力を充実させようとすると、下腹部が凹んでしまう人がいます。

私も肛門を締めて下腹部に力を入れようとすると下腹部を凹ませてしまうことが多いのでこれはすごく重要だと思います。

下腹部を凹ませて力を入れて肛門を締めると結構しんどいので長い時間クンバハカを維持できないんですよね。やり方が間違っているということですね。

また、このとき、肩の力を脱いておろすことも忘れないように注意しましょう。要は熱心に練習するしかクンバハカをマスターする方法はないということです。

クンバハカをマスターするには毎日修行しよう

「いつ何時でも、いざという時に、この体勢になれるまでは、努力して練習しても、三ヶ月や半年はかかるのが普通である。だから、詮じ詰めれば不断の実行を心がけることである。(中村天風、真人生の探求p186~187)」

肛門、下腹部、肩の三位一体の処置だけを考えると簡単にできるように思いますが、実際にはいつどんなときでも、クンバハカの体勢になれるまでは、どれだけ努力や練習をしても3ヶ月から半年くらいかかるのは普通です。

日々の修練が大事だということです。だから、いつでも、どんなときでもクンバハカの実行を心がけることが大切です。

日々クンバハカを実行していくと、最終的にはいつでも、どんなときでも、時と場合に応じてすぐにクンバハカの体勢で対応できるようになります。こうすれば、ほとんど完全に神経反射作用の調節をできるようになるのです。

また、肛門を締める、肩を降ろす、腹をへこます効果は、以下を参考にしてください。

積極的になるために神経反射作用の調節が必要な理由

積極的になるために神経反射作用の調節(クンバハカ)が必要な理由も知っておきましょう。

神経系統は高度な反射作用を持っている

「吾人の生命確保の中枢を為す神経系統は、極めて高度の反射作用を有する(中略)生命に存在する各種の感覚や感情の刺戟衝動というものは、細大洩らさずそれを一々中枢神経を通じて脳髄府へ伝達されるように、自然に仕組まれている(中村天風、真人生の探求p173)」

人間の生命確保の中心である神経系統は、非常に高度な反射作用を持っています。生命に存在する各種の感覚や感情の刺激や衝動は、中枢神経を通じて全て漏らすことなく、脳に伝えられてしまうのです。

消極的なことまで全て脳へ伝えられるように自然にできているのは、生物学的には弱肉強食の世界で生き残るために、必要なものだったと大学で勉強した記憶があります。

例えば、ライオンを見て恐怖を感じなければ、ライオンに近づいてしまって食べられてしまうわけです。消極的な感情も自然界で生きるためには必要なことだったのです。ただ、今の人間にはそれほど必要とされないのです。

消極的な人は神経過敏になっている

「平素消極的精神生活を営んでいる人の、神経系統の反射作用というものは、その消極的心理状態のため、俗にいう神経過敏という状態になっているために、往々正規を逸した異常な高度のものになっている。そのため僅かな感覚刺戟でも、また感情衝動でも、殊にそれが消極的のものだと、より一層大袈裟にそれを脳髄府に伝達する。(中村天風、真人生の探求p174)」

消極的な感情で常に生きている人の神経系統の反射作用が、神経過敏の状態になってしまっていることに特に注意しなければならないと天風氏は述べています。

神経過敏になっているので、神経反射作用を異常で高度な状態となってしまっています。本来であればわずかな感覚や感情なのに、神経過敏になっているために消極的な感覚や刺激を、本来の感覚や刺激よりも大げさに脳に伝達してしまうのです。

本来は1の衝動が10の衝動や100の衝動になってしまうわけです。本当はダメージ1なのにダメージ100も食らっていれば、身体もボロボロになってしまいますよね。

神経過敏だと自律神経が乱れてしまう

「生命の第二次的原動力要素をなすBioelektrizitat=生電気体の作用に変調を来たし、その結果動物性神経と植物性神経の、相互亢奮を調節する固有作用が、完全に活動することができなくなり、そのため両神経機能の平衡を正当に保つことが出来なくなったということに帰因するのである。(中村天風、真人生の探求p174)」

消極的になると神経過敏になってしまう理由は、生電気体の作用がおかしくなり、動物性神経と植物性神経のバランスを保つことができなくなるからです。

最近の言葉で言えば「自律神経の乱れ」というやつですね。交感神経と副交感神経のバランスが乱れると心身ともに様々な支障をきたしてしまうのです。

なので、うつ病とか増えてしまうんですよね。何事もバランスが大事だというのは昔から変わらないのです。

神経過敏のまま生きることは自ら命を削る行為と同じ

「それをその儘に放任して置くと、結局精神生命の安定を撹乱し、延いて生命維持の上にも危険な消長関係を及ぼす(中村天風、真人生の探求p174)」

しかし、だからといって、消極的な心で神経過敏のままに生きていると、精神生命が不安定となり、生命維持にも悪影響を及ぼしてしまうのです。

私はここすごく大切だと思うんです。消極的であることなんて当たり前のように思っていますが、実は自分の「命を削る行為」だということです。

あまりに間接的過ぎて気づかないのですが、自分で自分を死に向かわせているなんて非常に愚かな行為ですよね。なので、消極的に生きては絶対にいけないのです。

だから神経反射作用の調節をすることが大事

「積極精神の作成に必要な方法を行うと同時に、またこの神経反射作用の調節を現実化して、前記の生命の第二次的原動力要素であるBioelektrizitat=生電気体の作用を正常に行い得るようにしなければならない。これが即ち斯法(しほう)組織の理論基盤なのである。(中村天風、真人生の探求p174~175)」

なので、積極的になるための方法(観念要素の更改、積極観念の集中法)を行うと同時に、この神経反射作用の調節をすることで生電気体の作用を正常にしなければいけないのです。自律神経を安定させるのです。

「各種の感覚や感情の刺戟衝動を、心が受けた刹那刹那に、特殊の用意を肉体の各要所に施して、先ず体内の枢要部に散在する神経叢(plexus nervorum)の安定を確保し、その動乱を鎮圧防止するのである。
即ち神経叢の安定を確保し得れば、結局、原因と結果の相関関係で、適当に神経系統の反射作用を調節し得るに至るからである。(中村天風、真人生の探求p175)」

そこで、どうすれば、神経反射作用を正常に調節するかというと、様々な感覚や感情の刺激衝動を心が受けた瞬間に、特殊の準備である「クンバハカ」をしておき、神経叢を安定させ、様々な刺激衝動の混乱を鎮圧防止させます。

神経叢を安定させることができれば、原因と結果の関係から、神経系統の反射作用を正常に調節することができるのです。

クンバハカの効果

クンバハカには様々な効果があります。重要だと思う効果だけ紹介します。あとは「真人生の探求」読んで。

疲れを軽くする

「一寸立つにもこの体勢、電車汽車に乗る時も、降りる時も、歩行の時も、この体勢で行うようにする、また執務中、作業中にも時々この体勢を一呼吸間か、もしくは二三呼吸間行うように心がけると、よく疲労を軽減する効果がある。(中村天風、真人生の探求p187)」

「ちょっと立ったときもクンバハカ!」
「電車に乗るときも降りるときもクンバハカ!」
「歩くときもクンバハカ!

というようにどんなときでもクンバハカの体勢を行うようにすればいいのです。また、仕事中も時々クンバハカを1~3呼吸間でも行うように心がければ、疲れを軽くできる効果もあります。これは仕事中もクンバハカを心がけるしかないですね!

便秘が治る

「消化機能が良好に作用するため、胃腸の工合が良くなり、便通の如きも極めて順調になる。(中村天風、真人生の探求p188)」

クンバハカ(神経反射作用の調節法)を行うことで消化機能が高まり、胃腸の調子が良くなります。また、便通も良くなるので便秘になることが減ります。

私は片頭痛持ちなので便秘のときは片頭痛になりやすいです。というか片頭痛のときはうんちが出ないので、うんちが出ると片頭痛が直りやすいわけです。

うんち問題は健康に直結するので最高の効果ですね。まじでうんこを貯めるのは毒を貯めることと同じだと思うので。

頭が冴えて憂鬱にならなくなる

「頭脳常に明快を覚え、今までのような理由なき憂鬱気分に襲われなくなる。というのは、身体組織の各細胞と毛細管の血液との間に発生する瓦斯(ガス)交換量が増大するからである。(中村天風、真人生の探求p188)」

クンバハカ(神経反射作用の調節法)を行うことで頭が常に冴え、今までのように理由なく憂鬱な気分にならなくなります。

なぜなら、身体の中のガス交換量が増えるからです。酸素がたくさん供給されるので元気になるイメージかな。新鮮な空気を吸うことも大事だけど、空気を有効活用することも大事なわけです。

楽しい時間が増える

「虚心平気の人生時間が多くなる。それは、在来のように不当な恐怖や驚愕に、心の動揺を受けることが著しく減少する結果で、詮じ詰めると、生活を楽しく味わう時間が殖えることとなる。(中村天風、真人生の探求p188)」

心穏やかな(虚心平気)な人生の時間が多くなります。なぜなら、これまでのように不当な恐怖や驚きなどに心が動揺を受けることが減るからです。

つまり、人生が楽しくなる時間が増えることになります。最高ですね。やっぱり、普段姿勢を意識しないと、猫背になりがちでつまらないことを考えがちなので、姿勢はクンバハカを心がけようと思います。

怪我の回復が早くなる

「内外一致の中和作用が旺盛になる。内とは心、外とは身体のことであるが、そのため肉体各細胞の同化力が増大する。従って、万一怪我をしたとか、痛めたとかいうような場合、その刹那この方法を行うと、著しく自然良能力の発動を促進することとなって、その回復が目立って早い。(中村天風、真人生の探求p188~189)」

内外(心と身体)一致の中和作用が盛んになるので、肉体各細胞の同化力(分子を構成する代謝力)が増えます。

そのため、怪我をしたときや身体を痛めたというような場合に、クンバハカを行うと、自然良能力の発動が促進されるので、怪我の回復がかなり早くなるのです。

病気や風邪にならなくなる

「この方法を常住実行して居ると、外邪よく侵す能わずという堅固な肉体になり得る。だから妄りに細菌に犯されたり、感冒にかかったりするようなことがなくなる。
それは畢竟、肉体組織の各細胞の生活力が旺盛になる結果に外ならない(中村天風、真人生の探求p189)」

細菌性の病気や風邪にならない強い身体になるわけです。それは結局、肉体組織にある各細胞の生活力が盛んになるからです。

なぜクンバハカをすることで病気や風邪にならなくなるかというと、人身磁気(オーラ)が強くなるからです。バリアが身体を守っているイメージがわかりやすいかと思います。

エセ霊能者や悪徳宗教のオーラは胡散臭いけど、人身磁気だと考えれば科学的にもオーラの存在を納得しやすい」も参考にしてください。

クンバハカの応用法

感想

クンバハカは中村天風氏の教えの中でも特に重要な方法です。クンバハカを常に行うことで、人生の刺激や衝動に左右されなくなるからです。論理は非常に複雑なので、きちんと理解したい人は「真人生の探求」を読んでください。

また、クンバハカの実際のやり方は、中村天風氏の本だけを読んでいてもわかりにくい部分もあるので、正しいやり方を一番知っているであろう天風会で学ぶという方法もあります。

クンバハカの全部のやり方を動画でまとめたDVD販売してほしいわ。高くても買います。どうしても本だけじゃわからないところってあるんですよね。

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