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クンバハカ

クンバハカとは、神経反射作用の調節法のことです。インドのヨガ哲学の秘法であるクンバハカ密法を利用し、中村天風氏が考えた特殊な身体の持ち方です。

天風氏は「クンバハカ」「自己調和法」「神経反射作用の調節法」と呼んでいますが、全部同じ意味と考えていいです。

「印度ヨガ哲学の秘法クンバハカ密法=kumvaphaccaと称するものから引用して、私が創意した特殊の体のもち方posture regulationなのである。便宜上これを「自己調和法」と名づける。(中村天風、真人生の探求p194)」

クンバハカのやり方

「感覚や感情の刺戟や衝動を受けた刹那、何を措いても、先ず第一に肛門を締めるのである。そして同時に、肩を充分に力を脱いておろし、と同時に下腹部に力を充実せしめるのである。即ち尻、肩、腹の三位を一体として、前記のとおり同時に処置するのである。(中村天風、真人生の探求p175)」

クンバハカのやり方は簡単です。感覚や感情の刺激や衝動を受けた瞬間に、第一に肛門を締めます。同時に、肩の力を脱いておろし、同時に下腹部に力を入れます。尻、肩、腹を三位一体で同時に行います。

肛門を締める効果と重要性」も参考にしてください。

下腹部が凹む人の対処法

「最初の間肛門を締めて、下腹部に力を充実せしめようとすると、反対に下腹部が凹む人がある、そういう人は、腹の方から先に力を入れて膨らして後、静かに肛門を締めるということを行って見ることである。すると間もなく、肛門を締めて下腹部に充分満々たる力が充実するようになる。
但し、そういう場合、肩の力を脱くことをくれぐれも忘れぬように注意しなければならない。要は、熱心に練習することである。(中村天風、真人生の探求p186)」

クンバハカを始めた人が注意したいことは、肛門を締めて下腹部に力を充実させようとすると、下腹部が凹んでしまう人がいます。

この場合は、腹から力を入れるようにした後に、肛門を締めるようにしてください。また、このときに肩の力を脱いておろすことも、忘れないように注意しましょう。

積極的になるためにクンバハカが必要な理由

神経系統は高度な反射作用を持っている

「吾人の生命確保の中枢を為す神経系統は、極めて高度の反射作用を有する(中略)生命に存在する各種の感覚や感情の刺戟衝動というものは、細大洩らさずそれを一々中枢神経を通じて脳髄府へ伝達されるように、自然に仕組まれている(中村天風、真人生の探求p173)」

人間の生命確保の中心である神経系統は、非常に高度な反射作用を持っています。生命に存在する各種の感覚や感情の刺激や衝動は、中枢神経を通じて全て漏らすことなく、脳に伝えられてしまうのです。

消極的なことまで全て脳へ伝えられるように自然にできているのは、弱肉強食の世界で生き残るために、生物学的には必要なものだったと大学で勉強した記憶があります。

例えば、ライオンを見て恐怖を感じなければ、ライオンに近づいてしまって食べられてしまうわけです。消極的な感情も、自然界で生きるためには必要なことだったのです。

ただし、今の人間にとっては、消極的な感情はそれほど必要とされないものとなりました。そこまでしなくても、死ぬことはめったにありませんからね。

消極的な人は神経過敏になっている

「平素消極的精神生活を営んでいる人の、神経系統の反射作用というものは、その消極的心理状態のため、俗にいう神経過敏という状態になっているために、往々正規を逸した異常な高度のものになっている。そのため僅かな感覚刺戟でも、また感情衝動でも、殊にそれが消極的のものだと、より一層大袈裟にそれを脳髄府に伝達する。(中村天風、真人生の探求p174)」

消極的な感情で常に生きている人の神経系統の反射作用は、神経過敏の状態になってしまっていることに注意しなければならないと、天風氏は述べています。

神経過敏になっているので、神経反射作用が異常で高度な状態となってしまっています。本来であればわずかな感覚や感情なのに、神経過敏になっているために消極的な感覚や刺激を、本来の感覚や刺激よりも大げさに脳に伝達してしまうのです。

本来は1くらいの小さな衝動が、100の衝動になってしまうわけです。本当はダメージ1なのにダメージ100も食らっていれば、身体もボロボロになってしまいますよね。

神経過敏だと自律神経が乱れてしまう

「生命の第二次的原動力要素をなすBioelektrizitat=生電気体の作用に変調を来たし、その結果動物性神経と植物性神経の、相互亢奮を調節する固有作用が、完全に活動することができなくなり、そのため両神経機能の平衡を正当に保つことが出来なくなったということに帰因するのである。(中村天風、真人生の探求p174)」

消極的になると神経過敏になってしまう理由は、生電気体の作用がおかしくなり、動物性神経と植物性神経のバランスを保つことができなくなるからです。

最近の言葉で言えば「自律神経の乱れ」というやつですね。交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、心身ともに様々な支障をきたしてしまうのです。

なので、うつ病とか増えてしまうんですよね。何事もバランスが大事だというのは、昔から変わらないのです。

神経過敏のまま生きることは自ら命を削る行為と同じ

「それをその儘に放任して置くと、結局精神生命の安定を撹乱し、延いて生命維持の上にも危険な消長関係を及ぼす(中村天風、真人生の探求p174)」

しかし、だからといって、消極的な心で神経過敏のままに生きていると、精神生命が不安定となり、生命維持にも悪影響を及ぼしてしまうのです。

多くの人は消極的であることが当たり前のように思っていますが、実は自分の「命を削る行為」です。自分で自分を死に向かわせているなんて、非常に愚かな行為ですよね。なので、消極的に生きてはいけないのです。

神経反射作用の調節が大事

「積極精神の作成に必要な方法を行うと同時に、またこの神経反射作用の調節を現実化して、前記の生命の第二次的原動力要素であるBioelektrizitat=生電気体の作用を正常に行い得るようにしなければならない。これが即ち斯法(しほう)組織の理論基盤なのである。(中村天風、真人生の探求p174~175)」

なので、積極的になるための方法(観念要素の更改、積極観念の集中法)を行うと同時に、この神経反射作用の調節をすることで生電気体の作用を正常にしなければいけないのです。自律神経を安定させるのです。

神経反射作用を正常に調節するには「クンバハカ」をし、神経叢を安定させ、様々な刺激衝動の混乱を鎮圧防止させます。

クンバハカの効果

クンバハカには様々な効果があります。重要だと思う効果だけ紹介します。

「疲れを軽くする」
「便秘が治る」
「頭が冴えて憂鬱にならなくなる」

あとは「真人生の探求」読んでください。

クンバハカの応用法

クンバハカの体制を利用した応用法もあります。クンバハカの体制で深呼吸をするだけでいいです。養動法は座禅よりも簡単でおすすめです。エネルギーを送る方法は、本を読んでね!

感想

クンバハカは、中村天風氏の教えの中でも特に重要な方法です。クンバハカを常に行うことで、人生の刺激や衝動に左右されなくなるからです。

クンバハカの方法自体はシンプルですが、論理は非常に複雑です。きちんと理解するためにも「真人生の探求」を読んでください。

また、クンバハカの実際のやり方は、中村天風氏の本だけを読んでいてもわかりにくい部分もあるので、正しいやり方を一番知っている天風会で学ぶ方法もあります。

というか、クンバハカの全部のやり方を動画でまとめたDVD販売してほしいわ。高くても買うというか、買わざるを得ないwどうしても、本だけじゃわからないところってあるんですよね。

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
IT・Web会社の社長
詳細プロフィール

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