なぜ28億円も使う?維新「大阪トリプル選挙」強行の裏にある巧妙な選挙戦略。公職選挙法201条の9の罠
維新の会が大阪トリプル選挙を強行した理由は何でしょうか?
皆さん、こんにちは。選挙分析が趣味の現役町長です。今、大阪が大変なことになっていますね。日本維新の会の吉村さんが、大阪府知事・大阪市長・衆議院選挙をぶつける「トリプル選挙」を強行しました。
「なぜ今なの?」
「税金の無駄じゃないの?」
という批判も当然あります。ですが、政治のプロの目線で見ると、ここには他党を完全に沈黙させる「恐ろしいほど巧妙な選挙戦略」が隠されているんです。
今日は、大阪都構想の是非は一旦置いておいて、この「エグいほど上手い選挙戦略」を徹底解説します。
まずは、今回の日程を見てください。ここが最大のポイントです。
①大阪府知事選挙 :1月22日(木)告示
②大阪市長選挙 :1月25日(日)告示
③衆議院議員総選挙:1月27日(火)公示
★投開票日 :2月8日(日)
注目してほしいのは、22日から26日までの「5日間」です。実は、維新以外の政党にとって、この期間は「地獄の沈黙期間」になります。
なぜ他党が黙らされるのか?根拠は「公職選挙法 第201条の9」です。知事や市長の選挙が始まったら、そのエリア内では、政党の政治活動をやってはいけません!
解散選挙を控えた他党にとっては致命傷です。自民党も中道連合も、この5日間は大阪府内で「党の宣伝」が一切できなくなります。駅立ちもダメ、YouTube広告も制限される。この5日間は公職選挙法を守るなら、何もできなくなるんです!
一方、維新は知事選・市長選に候補者を出しているから、「選挙運動」としてマイクを握り、ポスターを貼り、名前を連呼できます。大阪の街が維新一色に染まる「独占状態」が作られるわけです。
他党も無策ではありませんでした。本当は「無投票」にして制限を回避したかった。でも失敗しました。無投票にならないなら、捨て駒でもいいから候補者を出すべきでした。そうしないと、この5日間を捨てることになるからです。
特に痛いのがポスターです。無所属で出る元維新の守島さんなどは、この期間「2連ポスター」も貼れません。対する維新は、吉村さんのポスターが街を埋め尽くす。このサブリミナル効果は、準備期間の短い解散総選挙において圧倒的なアドバンテージになります。
また、吉村さんが「全力」で応援できるというアドバンテージもあります。首長には公務があります。でも、自分が候補者(知事選)になれば、選挙期間中は朝から晩まで街頭に立てます。維新の顔である吉村さんが、フルタイムで衆院選の候補者たちを横に並べて応援できる。これが一番の強みです。
ただし!この戦略は「諸刃の剣」でもあります。
身内からも反発が出ています。維新内部でも26人もの反対者が出たと言われています。大阪都構想も2回否決され、吉村さん自身、かつて「3度目に挑戦することはありません」との発言もあったからです。
ただ、二重行政は無駄も多いので、副首都構想が出たタイミングで勝負にかける最後のタイミングとも思います。
また、大阪府知事選で約23億、大阪市長選挙で約5億円がかかります。28億円もの税金を使うことの有権者の怒りの声もあります。
さらに、自治体の選挙挙事務負担は限界突破です。例えば、ポスター掲示板。解散選挙だけなら1つです。しかし、大阪市外だと2つ、大阪市だと3つ準備しなければいけません。次回の動画で「なぜ解散選挙で自治体は大変になるのか」を詳しく解説します。
維新の支持率は前回の参議院選挙よりは高くなっていますが、諸刃の剣とも言える戦略です。維新のトリプル選挙は選挙戦略としては100点満点です。でも、有権者の「やりすぎだ」という不満が、この巧妙さを上回るかどうかが勝負の分かれ道です。
とば ひさし