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隣の町より商品券が安いのはなぜ?重点支援地方交付金の「裏側」、不交付団体が不利な理由

2026年01月11日 更新2026年01月11日 公開

国の物価高対策でこんな疑問を持ったことはありませんか?

「隣の町は6,000円の商品券が配られたのに、なんでウチの町は5,000円なんだろう?」
「国の政策なんだから、どこに住んでいても同じ金額がもらえるんじゃないの?」

今回は現役町長のとばが、自治体によって格差が生まれる秘密を正直に話しちゃいます。

重点支援地方交付金とは

今、国が進めている「重点支援地方交付金」。正式名称は「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」と言います。

これは、エネルギーや食料品の値上がりに苦しんでいる皆さんを支援するために、国から自治体に配られるお金のことです。

多くの自治体では、これを使って「生活応援券」や「プレミアム商品券」を配ったりしています。ここで最初の疑問に戻ります。

「なぜ、自治体によって商品券の金額が違うのか?」

ここからが今日の本題です。

不交付団体は不利?

結論から言います。武豊町のように財政が豊かと言われている自治体「不交付団体」は、国からもらえるこの交付金の額が、ガクンと少ないんです。

「えっ、国の政策なのに?」

私のいる武豊町と、愛知県にある東郷町さん。人口はどちらも約4万3千人~4千人で、ほぼ同じ規模です。でも、国から配られる交付金の額を見てください。

東郷町さん(交付団体):約3億6,000万円
武豊町(不交付団体):約2億7,000万円

その差、なんと約1億円も違うんです!

さらに、阿久比町さん。人口は武豊町より1万5千人も少ない2万8千人です。でも、もらえるお金は阿久比町さんの方が多いんです。人口が1.5倍もいる武豊町の方が、もらえる総額が少ない。

財政力指数で変わる交付金限度額

これ、不思議だと思いませんか?なぜこんな逆転現象が起きるのか。その秘密は、国のこの「計算式」にあります。

1,770円×人口×(A×B×C×D×α+A×B×C×β)+2,030円×(事業所数×γ×E+人口×F×G×H)×I×δ

うわっ、難しい数式が出てきましたね。全部覚える必要はありません。注目してほしいのは、最後のほうにある「H」という文字です。この「H」を決めるのが、「財政力指数」なんです。

H:(1.21-財政力指数)×1.1+0.2

仕組みはこうです。「財政力指数が高い」ほど、この係数が小さくなって、支給額が減らされるんです。武豊町の財政力指数は「1.10681」です。

「1」を超えているので、国からは「不交付団体」、つまり「自分たちで稼げる豊かな町」と認定されてしまうわけです。その結果、計算式上で

「お金がある町だから、国の支援は少なくていいよね」

と、大幅に減額されてしまうわけです。もちろん、地方によって事情が違うのはわかります。人口割合や一人当たり地方税収などで交付金を手厚くするのは当然ですし、よく考えられている計算式だと思います。

国の政策は全国一律にすべし

でも、今回のような「物価高騰対策」は、全国どこでも同じように苦しいはずです。

「住んでいる町がたまたま財政力指数が高いから」

という理由で、国からの支援を減らされてしまう。その結果、

「隣の町は商品券6,000円なのに、うちは5,000円なの?」

という格差が生まれてしまう。不平等だと感じませんか?

「交付金が少ないなら、町の貯金である財政調整基金を使えばいいじゃないか」

と言う人もいるでしょう。でも、武豊町や碧南市のような「お金持ち」と言われていた不交付団体の貯金が、今後マイナスになる予測が出ています。このことについては以前動画で解説しました。

人件費や物価が上がっている今、将来の自治体経営を考えずに安易に町の貯金を使うのは「悪手」であると私は考えています。

今回の重点支援地方交付金、いただけるのは本当にありがたいことです。でも、現場の首長としての本音を言わせてください。

「国がやる政策なら、条件をつけずに一律平等にしてほしい!」

そうすれば、自治体ごとに政策を考える必要もなくなり、政策に必要なシステム改修するコストも削減できます。何より国民の皆さんの間に「不公平だ」という不満が出なくなります。

これからは、自治体が何でも独自でやるのは難しい時代になってきました。国が決めるべきことは一律で決める。そうしないと、地方が疲弊してしまいます。

アイデア勝負になる現状

とはいえ、現状は交付金の「格差」がある中で、いかに住民の皆さんに満足してもらえるか、という「自治体のアイデア勝負」の時代になっています。

たくさん交付金をもらっている自治体に負けないようにするにはどうするか?私を含め、全国の首長は神経をすり減らして毎日悩んでいるわけです。

でも、私はあきらめません!交付金が少ない武豊町ですが、知恵を絞って、皆さんが「おっ!」と喜んでもらえるような政策を今、大詰めで考えています。

次回の動画では、「全国で評判の良い重点支援地方交付金の政策ランキング」をご紹介したいと思います。武豊町の物価高対策は1月29日に開催予定の臨時議会で可決され次第、すぐにお伝えできればと思います。楽しみにしていてください。

参考リンク

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町長
詳細プロフィール

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