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改札機から券売機のわずか5mの距離で、PASMOが神隠しにあったお話

2023年02月08日 更新2020年03月31日 公開

2020年3月初旬。俺は出張をした。ここは東京。以前住んでいた町だ。あのおいしい焼き鳥屋さんへ行こう。そう思って、この駅で降りたんだ。

久しぶりの駅構内だな。あの焼き鳥屋さんは何番出口だったけ?今日は1号車両に乗ったから、1番出口から出ようかな。そんなことを考えながら、俺は改札へ向かったんだ。

カバンからさっそうとパスモ(PASMO)が入った定期入れを出す俺。都会のシティボーイのように、パスモをかざしたんだ。

しかし、パスモは改札機にぶつかり、定期入れから落ちたんだ。慌てた俺は冷静さを装いながら、パスモを拾って改札から出たんだ。そう、改札からは普通に出れたんだ。

そして、俺はある事実に気づく。そういえば、パスモの残高が少なかったな。帰りの電車賃が足りないかもしれない。チャージして新幹線に乗り遅れて、終電間に合わないなんてダサいぜって。

俺は改札機から5mほどの距離にある券売機まで歩いたんだ。そして、いつものようにパスモを取り出して、5,000円チャージしようとしたんだ。

ここで俺はあることに気づく。

「あれ?パスモがない…」

カバンの中を探しても、パスモは見つかりませんでした。
服を買った袋の中からも、パスモは見つかりませんでした。
駅員さんにパスモは落ちていませんでしたか?と聞いても、パスモは見つかりませんでした。
見つかりませんでした。見つかりませんでした。

「きっと服を買った袋の中の服のどこかに、パスモは紛れているさ」

そう考えた俺は、消えたパスモのことは忘れて、焼き鳥に舌鼓を打ったんだ。

そして、帰り道。駅員さんに念の為に、パスモが落ちていなかったと聞いたんだ。しかし、パスモは落ちていなかったと。

「きっと服を買った袋の中の服のどこかに、パスモは紛れているさ」

そんなふうに、楽観的に俺は考えたんだ。そして、俺は家にたどり着いた。服を袋から取り出し、パスモが洋服の中に紛れていないか探してみる。しかし、パスモはない。どこにもない。

服の中もカバンの中も探したけれど、見つからないのに。まだまだ探す気ですか?それより僕と踊りませんか?うふふふふふふふふふふ…

どこにもパスモが見つからないんだ。

改札で落として通った瞬間に、誰かのカバンに入ったのか?
それともあのわずかな瞬間に、誰かにパスモを取られたのか?

俺はあれこれ考えた。でも、俺は

「失くしたものは仕方ない」

と、男らしく納得したんだ。チャージ金額も700円くらいだ。パスモのデポジットも諦めればいいだけさと。

そして、2週間後。俺は出張するために2週間ぶりに電車に乗った。改札を通ろうとするエラーが鳴って、通れなかったんだ。

チャージ金額が足りなかったのか?と俺は思った。しかし、改札機のエラーを見ると「複数枚カードがあるので通れない的なエラー」だったんだ。ここで俺はあることに気づいたんだ。もしかして、定期入れに神隠しにあったはずのパスモが入っている?と。

でも、俺は表面も裏面にも、パスモが入っていないことは確認していた。そして、俺はあることに気づいたんだ。

定期入れの真ん中にも、カードを入れられるポケットがあることを。俺は定期入れには、表と裏しかカードを入れられないと思い込んでいたのだ。

大分汚いが、俺の愛用している定期入れを見てほしい。

<表>

定期入れ表

*PASMOは裏にしている

<裏>

定期入れ裏

<まさかの真ん中ポケットちゃん>

定期入れの真ん中ポケットちゃん

そう、この真ん中ポケットちゃんにパスモが入っていたのだ。というか、失くした日も予備用のスイカを定期入れに入れて通ったんだから、そのときにエラー鳴れよと俺は思った。しかし、エラー鳴らないときもあるものだ。こればかりは仕方ないと俺は思ったんだ。

パスモが見つかってよかった。見つかってよかった。そんな夜を探してる。

本当にパスモが神隠しレベルでなくなったと思っていた俺は、本当に安心した。パスモは定期入れの真ん中ポケットに、神隠しにあっていただけなのだった。

自分の確認不足だけだったのに、パスモが神隠しにあったと勘違いしていたお話でした。みんなも定期入れの真ん中ポケットに気づいてあげよう。頭悪くてごめんなさい。

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
IT・Web会社の社長
詳細プロフィール

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