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万引き家族の映画を2回見て、小説のネタバレ要素も含む個人的な感想と考察【家族ってなんだろう】

2022年06月17日 更新2022年06月17日 公開

万引き家族がテレビで放送されていたので、最後まで見てしまいました。前も見たことがあったので、結末がわかっている前提で見ると、新たな気付きもあったし、いまだにわからないこともありました。

万引き家族の映画を2回見て、小説のネタバレ要素も含む個人的な感想と考察をお伝えします。

<注意>
ネタバレ要素含むので、映画を見たことがある人だけ読んでください。映画を見ていない人は、映画を見てから読んだほうが面白いです。

でも、ネタバレしているかどうかは、この映画の本質ではないので、ネタバレしてから見てもいいかもと思う今日このごろ。それくらい考えることが大事な映画。

万引き家族とは

万引き家族とは、万引きをする家族をイメージしますが、家族に関する社会問題を考えさせる映画のことです。家族ってなんだろうって思わされます。

是枝裕和さんが監督で、2018年に公開されています。カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルム・ドールを受賞したほどの映画です。「声に出して呼んで」が最初のタイトル案だったそうです。

あらすじ

公式サイトのあらすじは、以下となっています。wikiのはあらすじはネタバレ全開なので、こっちのが初見の人にはいい。

街角のスーパーで、鮮やかな連係プレーで万引きをする、父の治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)。肉屋でコロッケを買って、寒さに震えながら家路につくと、団地の1階の廊下で小さな女の子(佐々木みゆ)が凍えている。

母親に部屋から閉め出されたらしいのを以前にも見かけていた治は、高層マンションの谷間にポツンと取り残された平屋に女の子を連れて帰る。母の初枝(樹木希林)の家で、妻の信代(安藤サクラ)、彼女の妹の亜紀(松岡茉優)も一緒に暮らしている。

信代は「もう少し金の匂いのするもん拾ってきなよ」とボヤきながらも、温かいうどんを出してやり名前を聞く。「ゆり」と答える女の子の腕のやけどに気付いた初枝がシャツをめくると、お腹にもたくさんの傷やあざがあった。

深夜、治と信代がゆりをおんぶして団地へ返しに行くが、ゆりの両親が罵り合う声が外まで聞こえる。信代には、「産みたくて産んだわけじゃない」とわめく母親の元に、ゆりを残して帰ることはできなかった。

翌日、治は日雇いの工事現場へ、信代はクリーニング店へ出勤する。学校に通っていない祥太も、ゆりを連れて「仕事」に出掛ける。駄菓子屋の「やまとや」で、店主(柄本明)の目を盗んで万引きをするのだ。

一方、初枝は亜紀を連れて、月に一度の年金を下ろしに行く。家族の皆があてにしている大事な「定収入」だ。亜紀はマジックミラー越しに客と接するJK見学店で働き、「4番さん(池松壮亮)」と名付けた常連客に自身と共鳴するものを感じ、交流がはじまる。

春の訪れと共に、「荒川区で5歳の女の子が行方不明」というニュースが流れる。両親は2ヶ月以上も「親戚の家に預けた」と嘘をついていたが、不審に思った児童相談所が警察に連絡したのだ。ゆりの本当の名前は「じゅり」だった。

呼び名を「りん」に変え、髪を短く切る信代。戻りたいと言えば返すつもりだったが、じゅりはりんとして生きることを選ぶ。信代は、「こうやって自分で選んだ方が強いんじゃない?」と初枝に語りかける。「何が?」と聞かれた信代は、「キズナよキズナ」と照れながらも、うれしそうに答えるのだった。

時は流れ、夏を迎え、治はケガが治っても働かず、信代はリストラされるが、それでも一家には、いつも明るい笑い声が響いていた。ビルに囲まれて見えない花火大会を音だけ楽しみ、家族全員で電車に乗って海へも出掛けた。だが、祥太だけが、「家業」に疑問を抱き始めていた。そんな時、ある事件が起きる──。

2回見てもわからないことだらけ

万引き家族を1回見ると、シックスセンスばりの伏線にびっくりする。しかし、シックスセンスばりの大どんでん返しは、この映画の本質ではありません。それよりも、考えないといけない問題を考えさせられます。

そして、大事なことは2回みても、わからないことはわからないです。私のように行間を読めない人間だと、何回見てもわかりません。わからないことだらけです。よって、映画を見終わるとネット検索しまくる始末ですw

元ネタとなる小説がある

実は万引き家族には元ネタとなる小説があります。元ネタというか、是枝裕和監督が書いた小説です。なので、映画ではわからない詳細な設定までがわかります。

もちろん映画なので、宮崎駿監督のように不要な部分はカットして、想像をかき立てることも大事なことです。

しかし、私のように詳細な設定まで気になる人や、あの人の過去はどんなだったんだろうと思う人ほど、小説を読んだほうがいいと思います。そして、絶対に映画をみてから読んで下さいねと、監督も言っているほどなので、映画を見てから読みましょう!

亜紀が一緒に暮らすようになった理由

亜紀が一緒に暮らすようになった理由は、映画では書かれていません。亜紀が家庭で愛情を感じられずにいたのはわかります。源氏名に妹の名前をつけているので、私でも察することができました。

でも、まともそうな家を出て、初枝と暮らすようになったのかはわかりません。小説にしか、亜紀の過去は語られていないから、わかるはずもありません。

映画でも察することができる人はわかるかもしれませんが、映画で登場する亜紀のお母さんは、本当のお母さんではありません。再婚した血のつながりのないお母さんなのです。

そして、おじいちゃんと同じく、どうやら不倫して再婚した模様です。だから、映画で「血は争えない」というセリフがあったのですね。

これ映画見て察した人いたら、観察力すごいわ。まるで気づかなかったですwこの設定を知ってから、一緒に暮らすようになった理由が腑に落ちた感じです。

信代の過去

信代がホステスをしていて、治が常連客でした。そして、2人でDVをする信代の夫を殺し、治がすべての罪をかぶったというのは、映画を見てもわかります。

でも、2人の出会いや殺人の詳細はわかりません。また、信代が親から「産まなきゃよかった」と言われた過去があることもわかりません。だから、あれだけりんに優しくできるのかなと思いました。次の言葉は聞いてて、泣きそうになった。

「好きだから叩くんだよなんて言うのはね。嘘なの。」
「好きだったらね。好きだったらね、こうやってやるの」

このあたりの設定も小説にしか書かれていないのが、とってもすごいところですね。小説は買わないといけなくなりますw一緒に住む経緯もわからないもんw

初枝が海でつぶやいた言葉

初枝が海でつぶやいた言葉も、実は小説に書かれています。これは樹木希林だからできるアドリブでした。これはネタバレしませんが、なんてつぶやいたかを知ると、アドリブとしてもすごいし、樹木希林としてもすごいなと思います。役者魂感じます。

祥太がバスでつぶやいた言葉

祥太がバスでつぶやいた言葉も、小説には書かれています。これは映画を見れば、なんとなくはわかりますが、私にとっても、つぶやいてほしい言葉になっていて良かった。

りんは最後に何を見たのか

りんは最後に何を見たのでしょうか?飛び降りたのでしょうか?このあたりも小説読んでみましょう。

ところどころエロかった

12歳以上の年齢制限があるだけあって、ところどころエロかったですw亜紀のあれはどうしても見入ってしまう私がいますし、信代のあれは生々しいですよねw子供と一緒に見るのは、避けたほうがいいと思いますw

正義とは悪とはなんぞやと考えさせられた

祥太が成長するにつれ、物を盗むことは悪いことなのではと考えるようになるのは、映画を見ればわかります。

そして、警察が警察ならではの正義を振りかざすこともわかります。実際私達も、ワイドショーで見ているような犯人が、万引き家族のような優しさを示すとは思えないでしょう。映画を見ているからわかるわけで。

だから、警察がその正義を振りかざすのも仕方ないことなのかなと思ってしまいました。でもそれは本当に正しいことなのか?

それに本当の親だから、子供を大切にできるわけでもなく…堂々巡りになりやすい議論だからこそ、こういった状況の親も子供も助けられるような社会が必要なのだと思います。

実際に子供を持つようになって、子供への愛情があることは普通だと思いますが、それが普通ではない人がいることも、なんとなくわかってきた私です。

そもそも、子供への愛情が欠如している人もいるし、両親の影響で愛情はあるのに、子供にどう愛情を注げばいいかわからない人もいます。子供への愛情があっても、ワンオペ子育てに疲れて、ネグレクトをしてしまう人もいます。

「母親は子供を大切にする」
「母親は子供に愛情を注ぐ」

という画一的な定義や決めつけが、こういった社会問題を引き起こしているのだと思います。正義とはなんだろうね、悪とはなんだろうねと思わされました。助け合いが、今の社会には足りないような気がしています。私も助け合いできているのかな…

本当の親だけが親じゃない

本当の親が子供を愛することは、多くの場合は自然なことです。しかし、文字通り親なだけという人もいます。

本当の親だけが親じゃないんだなと、万引き家族を見て思わされました。本当の親じゃなくても、その子の親になれるんだと。それがいびつな形であって、正しくない部分があったとしても、本当の愛情は伝わるんだなと。

私にはりんや祥太の親よりも、治や信代のほうが本当の親よりも親だなと思えました。りんは本当の親と絶対に住むべきではないなと私は思います。それでも、一緒に住まなければいけない日本の現状は、変えていかなければいけないと思いました。

「子供に愛情を持てない親がいる役目はなんだろう?」

でも、生きているからには役目があるから、愛情を持てない意味があるんだろうと思う。愛情がないところから、愛情を持てるようになるという役目でもあるのかな?

すごく考えさせられる。でも、死なない以上は天から与えられた役目があるのだから、それを探すしかないのかな。

過去の失敗を許される社会であってほしい

私は常日頃、過去の失敗を許される社会であってほしいと思っています。それは私自身が失敗していることもあります。過去を振り返ると、自分が嫌になることもしょっちゅうです。許してくれないと、いつまでも許されない存在なのです。

でも、日本は過去の失敗を許しません。ワイドショーはいつまでも過去の失敗を語り継ぎます。そして、失敗した人に、再起の手を差し伸べることはありません。

治のように殺人をしたら、普通の仕事をすることは難しいです。そりゃ殺人をしたから、仕方のないことです。でも、貧困から抜け出す道があってもいいと思うのです。

EXITの兼近さんみたいに、叩かれることはあっても、再起できる道があってもいいと思うのです。そりゃ、悪いことをしたら罪は背負わなければいけません。

しかし、その悪い過去があったから、過去を反省し生まれ変わったなら、その今を全否定するのは違うと思うのです。そんなことも考えさせられました。

感想

万引き家族は1度見たときから面白かったですが、2回見るとより面白かったです。結末がわかった状態で見ると、新たな気付きもあれば、相変わらずわからないこともありました。

そして、万引き家族の詳細が気になる人は、絶対に小説を読まないといけないことがわかりましたとさw考察も楽しいですが、公式によるネタバレを知るともっと楽しい!

しかし、万引き家族は面白いが、2回目を見るべきか悩みました。名映画だけど、あれこれ考えちゃう重いテーマだから。でも、やっぱり見ると、最後まで見ちゃいました。こんな記事まで書きたくなっちゃう最高の作品でした。

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
IT・Web会社の社長
詳細プロフィール

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