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格安税理士のメリット、デメリット【零細企業の味方】

2023年01月17日 更新2023年01月17日 公開

年間数十万の普通の税理士、年間10万円以内で決算対応をしてくれる格安税理士の両方と、長年顧問契約をした経験があります。

普通の税理士、格安税理士の両方と顧問契約をしていたからこそわかる、格安税理士のメリット、デメリットをお伝えしたいと思います。

メリット

格安税理士の一番のメリットは安さです。年間10万円以内で、決算対応をお願いできることが多いです。

格安税理士が安い理由は、提供するサービスをパッケージ化している、限定して提供しているからです。ただし、訪問なしや記帳代行はしないケースが多いです。

一方、普通の税理士であれば売上1,000万円程度でも、年間20~30万円ほどの費用がかかります。記帳代行もお願いすると、もっと高くなります。

普通の税理士だと定期的に訪問することが多いです。でも、訪問する回数の分だけ値段に反映されています。記帳代行まで対応してくれるケースも多いです。

格安税理士だと受けられるサービスは限定されます。しかし、受けたいサービスが明確で、コスパを重視したいのであれば、格安税理士を選ぶメリットが大きくなります。

私は決算対応だけお願いできればいいタイプです。なので、訪問なしでも記帳代行なしでも問題ありませんでした。

ただし、格安税理士の中には初年度のみ格安というケースもあるそうです。ずっと安いままでお願いしたいのであれば、2年目以降も値段が変わらない格安税理士さんを探しましょう。

デメリット

受けられるサービスが決まっている

私が依頼していた格安税理士さんは、記帳代行なし、訪問なしで提供しているサービスが決まっていました。

ただ、決算対応以外にも、給与計算、年末調整、各種書類作成などの対応をしてもらえたので、当たりの格安税理士さんでした。

相談もメールベースであれば、気軽に回答をもらえました。このあたりは依頼する格安税理士さんによって、当たり外れがあるかと思います。

ただ、銀行から融資を受けたいときに、銀行から求められた決算書類の修正対応はしてもらえませんでした。

提供サービスの範囲外なので当たり前ですが、提供サービス以外のことはできない、もしくは、別料金が発生するリスクがあるので注意しましょう。

ミスがある

「添付書類が別の会社のものだった」
「名前が間違っている」
「数値が出戻る」

といったミスがありました。資料や数字をちゃんと確認するのにも、確認コストがかかります。その分だけ、普通の税理士は費用が高くなっています。小さなミスはこちらが指摘して、ミスがないようにすることが必要なケースもあります。

仕訳が簡素化される

発生主義で管理したい場合に限定されますが、仕訳が簡素化されやすいというデメリットもあります。

例えば、発生主義から期中現金主義にして、期末のみ発生主義にするといった効率の良い仕訳方法を推奨されます。決算書類は年次決算なので、年次で正しい数字になっていればいいからです。

仕訳が楽になるメリットもありますが、月次決算の精度が落ちるデメリットもあります。これは経営者がどちらを重視したいかによります。私は仕訳も楽にしたいけど、月次決算もちゃんと見たいので困りました。

細かい仕訳ミスまでは指摘しない

税理士に記帳代行まですれば、仕訳が起きることは非常に少ないでしょう。しかし、記帳代行費用をケチって自分で記帳をすると、勘定科目を間違えてしまうような仕訳ミスをしがちです。

大きな仕訳ミスは指摘してくれますが、決算に影響しないような細かい仕訳ミスまでは指摘してくれません。なので、PLとBSがデコボコすることがあります。仕訳ミスで発生した存在しない現金が、いつまでもBSに残っていたりします。

銀行から融資を受けにくいことも

上記と連動しますが、銀行から融資を借りるときに決算書の数値が合わないと、融資を受けることは非常に難しくなります。また、追加資料の提出を求められるケースがあります。

この場合に、提供サービスの範囲外だと修正や対応をしてくれないケースもあります。なので、銀行から融資を受けることが前提のビジネスであれば、普通の税理士に頼んだほうが安全です。

銀行から融資を受けやすい税理士さんもいれば、融資を受けにくい税理士さんもいることがわかりました。ただし、金融機関に強い税理士さんは、ちゃんとした費用がかかると思います。

気軽に相談しにくい

訪問なしの格安料金設計になっているので、気軽に相談しにくいです。メールベースの簡単な相談はしていましたが、訪問や電話が必要な相談をするのは難しい雰囲気があります。

「税理士さんに経営相談をしたい」
「月次で数字の相談をしたい」

という場合は、訪問をしてくれる普通の税理士さんにしたほうがよいでしょう。

急に契約解除されることも

格安税理士は効率的に作業をしなければ、儲かりにくいビジネスモデルです。なので、ある程度効率的に作業ができる顧問先でなければ、急に契約解除されるリスクもあります。

普通の税理士さんより解除されやすい気がします。簡単な対応範囲内であれば、格安税理士さんから契約解除されにくいでしょう。

しかし、会社が拡大してちゃんとした経理が必要になったら、格安税理士さんからすると割の合わないビジネスになってしまいます。ここが、普通の税理士さんに移行するタイミングかもしれません。

また、格安税理士さんって高齢のケースも多くて、年齢の問題で急に廃業をして契約解除されることもあります。こればかりは仕方ないですよね。

あと、税理士開業当初は格安税理士として顧客獲得をしていても、ある程度顧問先が増えてくると格安の顧問先を更新のタイミングで顧問契約解除をすることもあります。利益率を考えると致し方ありません。

格安税理士は零細企業の味方

ハズレの格安税理士にならない限り、格安税理士は売上1,000万円程度の零細企業の頼りになると思っています。まさに零細企業の味方なのです。

実際にやってみればわかりますが、財務・経理は理解するまで時間がかかるし、作業時間もかなり取られます。この手間を省いてくれる格安税理士は、零細企業の救世主です。ただし、当たりの格安税理士を選びましょう!

感想

格安税理士は価格のメリットは非常に大きいですが、デメリットもあります。ですが、ハズレの格安税理士でなければ、売上1,000万円程度の零細企業の心強い味方となってくれます。

なので、自分が税理士さんに何をどこまで求めたいのかを明確にしたうえで、格安税理士さんに依頼するかどうかを検討しましょう。

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
詳細プロフィール

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