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武豊町営住宅A棟長寿命化計画外壁改修の追加工事に対する議案質疑

2023年11月07日 更新2023年11月07日 公開

武豊町営住宅A棟の長寿命化計画で外壁改修工事が行われました。しかし、当初の調査や計画では想定しない問題が発生したため、10,920,000円の追加工事が発生することになりました。この工事に関する議案質疑をご紹介します。

令和5年第3回臨時会の議案

外壁調査の欠損数の増加

質問

外壁調査数量増減表

外壁調査数量増減表(数量外壁調査表を参照*)を見ると、

浮き:27→52.6
欠損小:156→361
欠損中:220→334
階段部欠損部:0→3.7
北面深さt30~50:0→7.4
北面深さt50~1000:0→5.0

と欠損を中心に増えています。当初の調査設計よりここまで数量が増減している理由はなにか?ある程度欠損が増加するのは理解できますが、ここまでの数の増量は他市町の外壁補修でも、問題ない比率なのでしょうか?

*(○○を参照)とあるのは臨時議会で関連資料をタブレットで見れるようにしたためです。一部資料しか公開できませんが、関連資料の情報公開のあり方も武豊町の課題です。公開しても問題ない資料は掲載します。その他工事の写真関係はプライベートが特定できると判断したので、特定できないものだけ公開します。

回答

令和4年度に行った設計委託において、高所作業車を使用して目視調査などを実施し、補修箇所を確認し、工事の設計図書を作成しました。

しかし、工事の発注後に仮説の足場を設置、外壁を高圧洗浄し確認したところ、調査では把握できなかった新たに補修が必要な箇所などを確認しました。

また、外壁の劣化が想定よりも進んでいる箇所があり、補修規模が設計時よりも大きくなったことも要因です

他市町と比較しても多い状況で、補修箇所数が2倍以上増えています。

再質問

通常に比べ大きな変更であるときは、設計業者にどのような責任が生じるのか?

→町から指示しているので、設計者の責任より町の責任と考えている。

工期が106日伸びることについて

質問

当初の工期が令和5年6月22日~令和5年11月30日までの予定が、令和6年3月15日までに106日も予定が伸びています。工期が伸びることで

足場などの直接仮設工事:1,621,630円
仮囲い:199,900円

となり、1日あたり約17,200円かかる計算となります(変更設計書(町営住宅A棟外壁改修工事)を参照)。工期を短縮できれば、200万円近い足場関連の費用を節約することができます(共通仮設費の594,393円の増額を除いてこの金額)。

このような状況があるにも関わらず、工期を106日も伸ばす理由は何でしょうか?また、工期を短くする対応などはとらなかったのでしょうか?どの工程でどれだけ工期が伸びる計画となっているのかもお教えください。

回答

補修箇所の増加により約2週間、その他の工事が約4週間、冬期の工事となることから、塗装が乾くまでの日数が予定よりかかる可能性があり、2週間ほど加味しています。

また、契約変更手続きに必要な期間も長くなっています、現在、変更契約の締結まで工事を進められない状況となっており、変更箇所が集中している南側の壁面については、下地清掃の時点で作業が保留されている状態です。

工期についても経費がかさむことから、少しでも短くできるよう工事監理業者とも協議いたしましたが、12月下旬に変更契約を締結したのちでの作業再開を予定しており、3月15日までの工期としております。

再質問

当初と作業計画はどのように変わったのか?また、それらはどういった形で当初の作業計画から変更させるのか?

→施工業者が作成した施工表のもとに、3者の協議のもと行っている。

工期延長の責任

質問

当初の工期より長くなることで、本体工事以外の足場などの費用も重くのしかかっています。当初の設計、管理業者に対しても

令和4年度:1,474,000円
令和5年度:1,760,000円

と調査、設計委託料がかかっていますが、工期が伸びることで工事費用も高くなってしまう場合、武豊町のみが費用負担をするものでしょうか?

回答

補修数量の増加、その他の工事の発生、それに伴う変更手続きによる工期延長であることから、事業主体が負担するものと考えています。

再質問

管理委託料は増額するのか?

→増額はない

議案説明時との工事内容のズレ

質問

議案説明の差異は、クラックや欠損補修がメインの工事とおっしゃっていましたが、外壁改修工事の増額は2,119,381円となっています(変更設計書(町営住宅A棟外壁改修工事)を参照)。

その他の工事が2,970,600円となっておりますが、その他の工事が増えた理由や対応しなければいけない理由は何でしょうか?また、当初の見積からその他の工事を入れなかった理由は何でしょうか?

換気扇排気口清掃:415,000円
バルコニー既存物移動復旧:451,000円
排水管補修(竪樋):1,326,000円
バルコニー鳩除けネット取付:281,600円

などある程度想定ができたように思います。

回答

換気扇排気口の油汚れ

換気扇排気口清掃については、高圧洗浄で対処できると考えておりましたが、経年劣化により、想定以上に汚れなどがこびりついていたため、専門業者による洗浄で対応しなければならなくなりました。

バルコニー残存物移動復旧は、住んでいる方にすべてお願いできると考えておりましたが、高齢により重いものが持てないなどの理由で、実際には移動できないケースがほとんどであり、その対応をいたしました。

排水管補修は、当初は塗装の劣化部分の表面が錆びている程度だと認識しておりましたが、下地処理の際に穴が開くまで腐食しているものであると判明し、急遽補修が必要となりました。

バルコニー鳩よけネット取り付けは、簡単に取り外し、取り付けられると考えておりましたが、頑丈に取り付けてあったため、外すことはできましたが、再度取り付けをする際に、費用がかかることが判明し、対応が必要となりました。

いずれの工事も、事前に把握することが困難であり、実際に現場に入ってから判明したものであります。

再質問

高圧洗浄で落とせると判断した理由は何か?

→一般的にいけると判断した

事前に把握することが困難な工事は、ここまでまとめて発生するものでしょうか?数個ならわかりますが、かなりの数が事前に把握できておりません。事前の調査の必要性とは?

→目視調査を武豊町から指示したことで、想定外の量になった

業者からは目視以外の調査方法を提案されたか?

→提案はない

動かせない室外機について

*190,000円の追加工事

稼働状態での移動が不可能な室外機(2エアコン移設_sを参照)ですが、こちらは事前調査の際に、この室外機があることを確認していたのでしょうか?

→事前調査では把握していない

掃除や準備の事前通知について

*451,000円の追加工事

その他工事で発生した工事について、掃除(3バルコニー荷物_sを参照)や準備が必要といった事前の通知は行っていたのか?また、行っていた場合、どのように行っていたのでしょうか?そして、工事開始前までにどのような状況になっていたか、確認をしていたのでしょうか?

→工事前の掃除や準備が完了しているのか、確認はしていない。

防鳥ネット

*全体で466,100円の追加工事

バルコニーの防鳥ネット(4バルコニー防鳥ネット_sを参照)は武豊町が施工したものか?住民個人が施行したものか?また、その範囲はどれくらいか?

→個人が設置で4部屋分

室外機のドレン排水延長処理

*427,500円の追加工事

バルコニーの室外機ドレン排水処理(5.空調機ドレン排水_sを参照)は、目視しても延長することが必要だとわからなかったのでしょうか?5 0室中のうち45個ありますが、目視で見逃すものなのでしょうか?また、いくつか室外機を動かすなどして、ドレン排水の状況を確認しなかったのでしょうか?

→ベランダから高所作業車からの目視の調査となり、こちらも把握できていない。

換気扇周囲の外壁油汚れ

*415,000円の追加工事

換気扇周囲の外壁の油汚れ(6換気扇周囲清掃_sを参照)ですが、50個の換気扇に対してすべて高圧洗浄を行った上で、50個すべての外壁の油汚れが取れなかったのでしょうか?それとも、いくつか定点清掃を行い、取れないと判断して50個すべての清掃を積算したのでしょうか?

→これまで一度も清掃しておらず、すべての部屋に高圧洗浄をしたうえで対応予定

雑排水管の補修

*全体で1,361,000円の追加工事

雑排水管の補修(7.雑排水管補修_sを参照)も事前調査で竪樋(たてとい)の調査はバルコニーに入って調査はしなかったのでしょうか? サビの状況を見ると、補修の可能性があると判定できないものなのでしょうか?

→バルコニーでの状況確認ができていない。

再質問

武豊町としてはどこまで想定していないものを許容するのか?また、調査の精度はどのように考えているのか?

→町の指示でバルコニー調査をしていない。

なぜしなかったのか?

→バルコニーについては対象外とした

執行していない予算で補正予算なしに対応できなかったのか

その他工事が発生した部屋を中心に、予算の補正が発生しない範囲での対応を行い、残作業を別予算で行うことはできなかったのか?工期の延長に伴う足場代、共通仮設費、現場管理費、一般管理費などで500万円ほどとなっています。

契約の延長などで無駄な費用を支払わないためにも、補正予算が発生しないように足場を中心とした無駄な工事費用を支払わない工事の工夫はできなかったのでしょうか?

どうしても足場が必要なだけ作業を優先して、足場がなくてもできる作業は後日対応するなど、コスト削減における創意工夫はあるように思いますがいかがでしょうか?

→足場がある状態での作業が必要で、この方法しかなかった。

再質問

足場なしでできる作業はないのはなぜか?数部屋に残作業を絞れば、直接対応などの工夫ができると思うのですが、いかがでしょうか?

→この施工方法が適切と判断した

事前調査の意義は

本工事前の事前調査代を支払っているとお見受けしますが、目視だけの検査だったのでしょうか?高所作業も含まれる調査とありますが、どこまで、何個調査を行ったのでしょうか?

また、バルコニー内に入る許可をもらい、実際の損傷状況などは調査したのでしょうか?また、その他にも町営住宅の補修設計などを行っていれば、ある程度どのような問題が発生するか予見できると思うのですが、それらの知見はなかったのでしょうか?

→想定を超える量となり、それらを発見できませんでした。

見積比較表の業者選定基準について

見積比較表(【外壁】A棟_見積比較表を参照)に出ている3社はどのような基準で選定されたのでしょうか?松竹梅のような値段設定は、本当に出るようになっているのでしょうか?それ以外の価格が安くなる可能性などはなかったのでしょうか?

→業者間の中で選定している。施工管理業者の中で、この方法が適性であると判断し、対応をしました。

事前調査時の写真について

事前調査で工事前の写真などの報告書はないのでしょうか(工事後の写真しか今のところはもらっていないため)?

→写真については確認します

質問していない質問

以下2つは議案からズレていると判断された質問のため、質問のみ掲載しておきます。個人的には関連あると思うのですが、このあたりはあくまで議案に関連するもののみとのこと。

・変更設計書の変更額を見ると、10,912,000円の増額となっているのに、その他の残予算と調整をして435万円の工事増額のようにしか見せない理由はなぜか?また、なぜ詳細の変更内訳資料も、議員から聞かない限り提供しない理由はなぜか?内訳も見せずに、合計金額だけ見ても予算の増額の可否を判断することはできません。議案質疑の際に必要な資料を事前に提供いただくことはできないのでしょうか?

・2023年10月27日に議会運営委員会にて議案説明
2023年11月1日正午までに議案質疑通告
2023年11月7日に臨時会の開催

となっておりますが、議案内容を審議するための時間が短すぎます。民間であれば資料の分析、質問、回答などに○営業日をとって対応するのが一般的ですが、なぜここまで短い期間にするのでしょうか?もう少し余裕をもって対応していただけないでしょうか?

今回の問題

今回の外壁補修工事はコンサル業者が前年から事前調査をしており、計画を作成しています。民間企業であれば、大幅に事前計画がズレたら、かなりの問題になります。

しかし、行政であればそれがそこまで大きな問題にならず、議案質疑でも内訳資料をもらわなければ、議員はこれらの問題があることを把握することすらできません。

もちろん、ある程度想定しない問題が発生するのは仕方ありません。しかし、補正予算を組まなければいけないほどに、たくさんの問題が発生しています。事前計画の精度や責任問題など、民間と同じようなあり方が必要だと思います。

また、今回は議案説明から臨時会までの開催が短く、きちんと議案を調査する時間が取れませんでした。

内訳資料も議員から請求しなければもらうことができず、また、本当に必要な資料がそろうのは前日となりました。

そのため、議案質疑も前日の夜の完成となり、十分な答弁をしてもらうことも難しい状況です。武豊町の情報公開について、改めるタイミングが来ているように思います。

議員は住民の代表であり、住民は知る権利を持っています。今の武豊町は住民の知る権利を軽視しているのかなと感じてしまいます。

また、情報を公開しなければ、業者の都合の良い工事になってしまう可能性もあります。しかし、情報を公開すれば、無茶な工事はしなくなるはずです。

詳細資料を見ると突っ込みたくなることもあります。想定しない問題が発生するのは致し方なくはありますが、もう少し精度高く事前調査や計画が取れなかったのかなと思います。

そして、議案説明ではクラックの補修などがメインと聞いていましたが、よくよく資料を見るとその他の工事がメインとなっていました。

実際には1,092,000円の工事なのに執行していない予算も使い、435万5千円の工事にしか見えないようにしているのもよくないと思います。

役場出身の議員に聞くと、こういう数字マジックはするそうです。見破るには詳細資料で、数字の差異を見つけるしかないとのことです。ちゃんとした情報を提供し、正しく審議できるようにしてほしいです。

ただ、今回の調査で武豊町から事前に詳細資料をもらうことで、いろんな課題を見つけることができるということがわかりました。今後はこのような問題が発生しないように、改善していただければと思います。

町営住宅の他の棟では、同じ工事が今後も計画されています。次回は追加工事なく、適正な予算の範囲内で工事をしていただければと思います。

武豊町営住宅長寿命化計画

最後に、町営住宅の長寿化工事自体は必要なので賛成です。しかし、初期設計から追加工事の流れまでに疑問に感じる部分が多いので、工事内容の審議や今後このような対応を防止する意味も含めて、反対とさせていただきました。

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
IT・Web会社の社長
詳細プロフィール

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