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砕氷艦しらせ寄港事業の予算は2,600万円!子育て支援など本当に必要な予算に使うべきでは?

2024年04月19日 更新2024年04月19日 公開

令和6年度の武豊町の予算で一番無駄ではないかと感じたのが、砕氷艦しらせ寄港事業の予算2,600万円です。

保育園8園の修繕費が1,000万円、公園の遊具新設は0円なのに、たった1回の記念事業で2,600万円も使うのは疑問です。しらせ事業中止に向けた議案質疑をさせていただきました。

しらせ

予算内容

予算額:2,647.9万円
記念事業委託料(砕氷艦「しらせ」寄港事業)
2款:総務費、1項:総務管理費、12目:記念事業費

*令和6年度の新規計上科目

質問1

砕氷艦「しらせ」寄港事業を選んだ理由は何ですか?

回答

関係機関に寄港を要望し、その可否について連絡を待っている状況で答弁します。選んだ理由は、実施方針に沿うもので提案したものです。

再質問1-1

町制70周年記念事業の予算額約1億6千万円の中で、周期的なイベントである山車まつり、花火大会を除外すると、しらせ事業は約2,600万円と予算額が多いです。

「武豊町制70周年記念事業実施基本方針」は2ページのみで基本理念、基本方針しかございませんが、そのなかでメイン事業案となっていない「しらせ事業」に対してどのような方針に沿って、2,600万円の予算配分を行っているのか?メイン案のタイムカプセル事業は約300万円となっています。

回答

選んだ理由は、実施方針に沿うもので提案したもの。

<70周年記念事業の参考情報>

メイン事業は3つ!

  1. 衣浦みなとまつり花火大会
  2. 武豊ふれあい山車まつり
  3. 記念式典・タイムカプセル開封

衣浦みなとまつり花火大会は、半田市、碧南市、武豊町が輪番制で開催しているので毎年ではありません。

4,500万円の予算となっていますが、寄付金や協賛金などで1,800万円の収入もあるので、実際の負担は2,700万円となります。花火大会は昔からの大きなイベントなので、必要経費と考えます。

また、武豊ふれあい山車まつりは5年に1回開催されているので、毎年ではありません。4,900万円の予算となっていますが、半田山車祭のように武豊町で育てていくべき祭となっています。

さらに、記念式典・タイムカプセル開封は約310万円です。それなのに、メイン事業となっていないしらせ寄港事業は、約2,600万円となっています。

数年単位の周年事業である衣浦花火大会、山車まつりを除外したメイン事業である「タイムカプセル事業」よりも「しらせ事業」は2,300万円も高いのです。お金の使い方がおかしいと感じませんか?

再質問1-2

しらせはメイン事業ではなく共催事業ですが、共催事業なら2,600万円で問題ないのか?

回答

金額については明確に定めていない。この事業が基本方針に沿っているので、金額については考えていない。

質問2

誰がどういう経緯で「しらせ」事業をやろうと決めたのですか?最終決定は誰がしたのですか?

回答

経緯は一点目のご答弁となる。役場内で検討し、予算計上している。

武豊町制70周年記念事業実施基本方針に「各記念事業については、町幹部会(町長・副町長・教育長・各部(局)長)において方針や内容決定を行い、庁内関係課において実施・調整を行う。」とあります。つまり、部長以上が決めていることになります。

質問3

集客は約1万人をどれくらい見込んでいるとのことですが、町内、町外の集客割合はどう計算していますか?

回答

町内、町外は推計していない。

質問4

しらせを呼ぶだけで2,600万円になるのですか?事業の内訳はどうなっていますか?

回答

外部委託が2,300万円、300万円は直接支出する経費。

再質問4-1

「事業の内容はしらせ側と調整して決めるので、事業内容をご答弁できない状況です」とご答弁いただきましたが、2,300万円の外部委託で、その内訳は?

回答

詳細な資料を持ち合わせてはいませんが、主なものとしては駐車場、シャトルバスの運行、会場設営、運営などの費用が見込まれている。

質問5

2,600万円の費用対効果をどう考えていますか?

回答

効果は子どもたちをはじめとして住民の皆様に地球環境に関することを実現して、ゼロカーボンシティを実施するもの。すぐに効果が出るものではないので、費用対効果を出すことは難しい。

質問6

2,600万円の予算があれば、もっと有意義な使い方があるかと思いますが、他の事業企画案は考えなかったのですか?

回答

ご答弁を控えさせていただく。

質問7

「しらせ」事業のKPIはどうなっていますか?

回答

5点目と重複しますが、ゼロカーボンシティの実現でしらせ寄港事業のアンケート調査を通じ、今後の施策に関する材料とします。

再質問7-1

アンケート調査以外のKPIは考えていないのか?もっと直接的なやり方は考えていないのか?

回答

意識しないといけないという考えではございまして、さきほどのご答弁と重複しますが、本町におけるアンケート調査で意見を集めていく。

再質問7-2

直接的な事業で実施すればいいのでは?

*「しらせで南極に興味を持つ→ゼロカーボンシティ→武豊町に関する地球温暖化のアンケート調査をする」なら、最初から武豊町の地球温暖化に関する直接的な事業をしたほうがコスパはいいと思いませんか?

回答

すべてが地球温暖化ではないですが、南極で地球温暖化が進んでいる。そこから地球規模で考えていただきたい。この事業に参加していただくと、地球温暖化について考えていただく効果があると考えている。

質問8

武豊町として1人あたりのイベント集客に、いくらを上限に考えていますか?そのうえで、この2,600万円は妥当だと考えたのですか?

回答

6点目と同じですが、ご答弁を控えさせていただきます。2,600万円は妥当かについては、基本方針のルールに基づいて妥当と考えている。

*基本方針を見ていただければわかりますが、金額の決め方に関するルールはありません。ふわっとした方針が2ページにまとめられているだけです。

民間企業であれば2,600万円のイベントを計画するのに、詳細な計画を立て、KPIや費用対効果をきっちり考えたうえで許可されます。あまりにザルすぎる予算・事業計画だなと感じます。

質問9

今キャンセルしたら、キャンセル費用はかかるのですか?

回答

予算の執行前なので発生しない。

質問10

しらせ事業の見直しはしないのですか?

回答

妥当であると考えているので、見直しはしない。

再質問A

大綱の目的に「南極観測を支援する砕氷艦「しらせ」を招聘し、南極への航海や自然環境について感じて頂き、「地球温暖化について考える機会」として頂きます」とありますが、南極から地球温暖化を考えるのは論理飛躍がありませんか?

論理飛躍が生じていることに2,600万円の予算を使うのは、費用対効果として非効率的だと考えないのですか?もっと直接的な事業に予算を使っては?

回答

論理飛躍だとは考えない。

*「しらせで南極に興味を持つ→地球温暖化について考える→武豊町に関する地球温暖化について考える→武豊町の地球温暖化に関するアンケート調査をする」は論理飛躍になると思いますが…

再質問B-1

なぜ今「しらせ」事業をしなければいけないのですか?過去に「しらせ」事業を開催したことはあるのですか?

回答

町政45周年事業でしらせの寄港をしている。初めてではない。

再質問B-2

45周年事業でやったから、70周年事業でやるのではないか?

回答

そういうわけではない。状況が変わっている部分に着目して、環境変化に着目して事業化した。

再質問C-1

しらせ事業のペルソナは?

回答

「町内」「町外」が対象とできるのではないか。

*「町内」「町外」ということは全員ということです。これはペルソナではありません。「犯人は10代~20代、もしくは30代~40代、または50代以上の人物」と言っているようなものです。

再質問C-2

もっと細かいペルソナは?年代や性別などはどう考えていますか?

回答

そこまでは推計していない。

*つまり、ペルソナといった対象者を明確に考えずにイベントを計画しているわけです。

再質問D

今回しらせ事業に関する詳細資料をご共有いただけず、予算大綱の2行だけで判断しなければいけなかったのですが、武豊町は「しらせ」事業の予算を出すにあたって、どんな事業計画書を出し、ページ数はどれくらいあるのですか?2,600万円の事業をやるのにふさわしい事業計画提案となっているのですか?

回答

手元に詳細の資料を持ってないので答弁は控えさせていただく。

*手元にないから答弁を控えるということは、事業計画書の内容を把握していないということになります。民間では通用しない理屈と答弁です。

*あとで聞いたところ、事業計画書は数ページ程度とのことです。そして、入札前なので入札が終わるまでは資料は見せられないとのことです。議員はどうやって予算が適正か判断すればいいのでしょうか?予算の金額と大綱の2行で判断するしかないのでしょうか?

武豊町の役場側もこの情報だけで予算を決めているのでしょうか?同じ情報がないと、同じ土俵で判断できません。

補足情報

他の議員さんの議案質疑から、入場料は無料の想定で、入港するのは武豊北埠頭とのことです。

しらせ事業は中止に!

2024年4月の行政報告会にて、「しらせの寄港先に選ばれなかった」と町長報告を受け、しらせ事業は中止となりました!

議案質疑による効果もあったのか、中止となってよかったです。私たち武豊町民の大切な税金である2,600万円を、本当に使うべきことに使ってほしいです。

ポイント

感想

武豊町にはもっと予算をかけるべき事業がたくさんあります。例えば、保育園8園の修繕費は1,000万円です。

保育園も老朽化しており、至るところで修繕が発生しています。保育士さんたちが工夫して直してくれています。

しかし、それでも直せる限界があり、令和5年度の途中で修繕費の予算はなくなりました。その結果、ボロボロの畳をなんとかしてほしいというママの声を届けたところ、来年度まで待ってくれと言われたことがあります。

また、武豊町の公園の遊具は減っているのに、公園の遊具新設費用は0円です。鹿ノ子田公園にはブランコしかありません。

遊具を増やす要望は2023年4月に伝えているのに、2024年も遊具を増やせてもらえません。1,000万円の公園計画を立てることで、公園の遊具増設計画は前に進んではいますが、直接的に遊具を増やす予算はありませんでした。

子育て支援が大事だと言いながら、子育てを大事にしているかどうかが目に見えてわかる保育園の修繕や遊具にはお金をかけていないわけです。

それなのに、たった一回の記念事業で2,600万円を使うのは、私はどうしても納得することができませんでした。

しかも、「武豊町制70周年記念事業実施基本方針」では、しらせ事業はメイン事業になっていません。それなのに、メイン案のタイムカプセル事業の約300万円よりも、約2,300万円も高くなっています。

また、本当にやりたい事業であれば「武豊町制70周年記念事業実施基本方針」で最初からメイン事業とするはずです。

最初から絶対にやりたいメイン事業であって、明確な目的や理由があるのであれば予算に納得することができます。

(*個人的な感覚としては、環境課がどうしてもやりたい事業というよりは、町幹部がしらせ事業をやりたかっただけのように感じます。)

しかし、事業の目的も「南極で温暖化が進んでいる→地球規模で温暖化を考えてほしい→武豊町の温暖化について考えてほしい→武豊町に関する地球温暖化のアンケート調査で意見を集める」という直接的な目的になっていません。

さらに、費用対効果も考えておらず、「KPI=アンケート調査をすること」となっています。また、2,600万円という予算が妥当かどうかも、基本方針のルールに基づいて考えているから妥当と言っています。

しかも、その金額のルールは「武豊町制70周年記念事業実施基本方針」にはどこにも見当たりません。ルールに基づいていれば、金額はどうでもいいということなのでしょうか?

また、しらせの事業計画書は実際には数ページ程度の内容だそうです。ちなみに、私は太陽光発電の補助金16万円をもらうために、何度も役場に出向き、多くの資料を提出するように求められています。

しかし、武豊町が2,600万円の事業をやる際には、数ページの事業計画書で問題ないようです。今の役場には情報公開がないので、何でもありのように感じてしまいます。

実際、入札前なので事業計画書は、入札が終わるまでは見せてもらえないとのことです。それでは、議員はどうやって予算が適正かどうかを判断すればいいのでしょうか?

予算の金額、予算大綱の2行だけの情報で判断しなければいけないのでしょうか?今の武豊町は情報公開をしないから、何でもありになっているように感じます。

だから、議会のYouTube公開もする予定がいまだにありませんし、議案の詳細は武豊町ホームページに掲載されないので、議会で何をやっているのかわからないという町の人の声をよく聞きます。

とはいえ、今回しらせ事業が中止となってよかったです。2,600万円もあれば武豊町で簡単なフェスだって開くこともできますし、もっと使うべき事業がたくさんあります。

安芸高田市のように情報公開をしっかりするようになると、武豊町は少しずつ変わっていくのかなと思います。今の武豊町の体制だと情報公開のあり方を変えることは、本当に難しいなと感じます。

他の市町村では民間の視点が取り入れられ、少しずつ行政のあり方が変わってきています。それなのに、武豊町は旧体制のままです。

武豊町の行政にも民間の視点が必要です。そのためにも、民間視点を持った人が武豊町政を行い、武豊町の役場内のしがらみをなくすことが重要だとあらためて感じました。

著者

とばひさし とば ひさし
武豊町議会議員
IT・Web会社の社長
詳細プロフィール

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